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水質検査容器の種類|おすすめのプラスチック製採水容器5つも

水質検査容器の種類|おすすめのプラスチック製採水容器5つも

日本では法律に基づき、さまざまな場面で水質検査が行われています。生活用・工業用共に、安全な水を使用するためには水質検査が欠かせません。また、水質検査の際に必要となる備品が「水質検査容器」です。

当記事では、水質検査の概要・水質検査容器の役割や種類について解説します。おすすめのプラスチック製採水容器も5つ紹介するため、水質検査を実施する事業者・サービスとして水質検査を提供する事業者の方も、ぜひ参考にしてください。

 

1.水質検査とは?

水質検査とは、水の使用基準を満たしているかを調べる検査のことです。水質検査は、水の使用目的や使用場所によって検査項目が異なり、色・におい・化学物質や細菌の有無・消毒の残留効果などを調査します。

水道法第20条では、水質検査に関して以下のような記載があります。

第二十条 水道事業者は、厚生労働省令の定めるところにより、定期及び臨時の水質検査を行わなければならない。

2 水道事業者は、前項の規定による水質検査を行ったときは、これに関する記録を作成し、水質検査を行った日から起算して五年間、これを保存しなければならない。

3 水道事業者は、第一項の規定による水質検査を行うため、必要な検査施設を設けなければならない。ただし、当該水質検査を、厚生労働省令の定めるところにより、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者に委託して行うときは、この限りでない。

引用:厚生労働省「水道法に基づく水質検査」

厚生労働省のホームページでは、水質検査や水質検査計画の策定方法に関するガイドラインなどが詳しく記載されているため、ぜひ参考にしてください。

 

1-1.水質検査の主な種類

水の使い道は飲用水・生活排水・工場排水などさまざまです。そのため、水質検査が必要な場面は非常に多く、異なった水質基準が各法律に基づいて適用されます。

以下では、水質検査の主な種類を解説します。

水質検査の主な種類と準拠する法律・告示など
種類 法律・告示
水道水水道法
食品製造用水食品衛生法
清涼飲料水食品衛生法
井戸水義務なし
※都道府県など、各自治体における条例で規制されるケースがある
※井戸水を原水とする場合、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管理法)」に準拠する
プール水遊泳用プール:厚生労働省「遊泳用プールの衛生基準について」
学校用プール:文部科学省「水泳プールに係る学校環境衛生基準」
工場・工業排水水質汚濁防止法・下水道法
河川・海水・公共用水環境基本法

例えば、水道水を検水する場合は最大51項目の検査を実施します。

水道の検査項目数と頻度の目安
検査項目数 頻度
9項目(一般細菌・大腸菌群など)1ヶ月に1回
16項目(鉛・亜鉛や、その化合物など)6ヶ月に1回
39項目(カドミウムや・ベンゼンなど)1年に1回

このように、水質検査の種類によって適用される法律が異なるため、水質検査を行う際には法律に基づいた正しい知識が必要です。

例えば、同じ食品衛生法に基づく水質検査であっても、食品製造用水と清涼飲料水の法令基準は異なります。さらに清涼飲料水の中でも、ミネラルウォーター・それ以外の清涼飲料水・粉末飲料水などの種類によって、検査項目や基準値が変わります。

 

2.水質検査容器(採水容器)の主な種類

試料水を採取する際は、水質検査の種類に応じた「水質検査容器(採水容器)」を使用します。例えば、水道水質基準51項目検査に用いる採水容器採の素材は、プラスチック製・ガラス製が一般的です。

以下では、プラスチック製採水容器とガラス製採水容器の特徴を紹介します。

 

2-1.プラスチック製採水容器

プラスチック製採水容器は、主に細菌検査に用いられます。使用時に割れる心配などもないため、採水時だけでなく配送時も安心して利用できる点が特徴です。また、水道水などの細菌検査にはハイポ(チオ硫酸ナトリウム)入りの容器がよく使われます。

水道水質基準9項目や、ビル管理法11項目・16項目、雑用水2項目~6項目などは、プラスチック製採水容器のみで検査が可能です。以下は、プラスチック製採水容器が対応している、主な検査項目の例です。

  • 一般細菌
  • 大腸菌
  • 塩化物イオン
  • 亜硝酸態窒素
  • 硝酸態窒素と亜硝酸態窒素
  • 蒸発残留物
  • ジオネラ属菌
  • pH
  • 臭気
  • 外観

また、細菌検査に使用するプラスチック製採水容器は、基本的に滅菌処理がされているため、使用直前に開封して速やかに使用しましょう。

 

2-2.ガラス製採水容器

ガラス製採水容器は、主に揮発性有機化合物・消毒副生成物・かび臭物質の分析検査などに用いられます。遮光による試料の変質を抑えるため、使用される瓶は褐色の容器が多い傾向です。

またビル管理法において、3年以内に1回の検査が求められる「井戸処理水7項目」の水質検査では、基本的にガラス製採水容器が利用されます。

 

3.水質検査におすすめのプラスチック製ボトル5つ

水質検査を行う際、サンプルとして採取した水を入れる採水容器に、菌・微生物などがもともと付着していると水質検査の精度に影響を与えます。そのため、あらかじめ滅菌済みのボトルを使用することが大切です。

滅菌処理方法は、主に「EOG滅菌」と「EB(電子線)滅菌」の2種類があります。

〇EOG滅菌

EOG滅菌とは、ガス滅菌槽を使用した滅菌方法です。滅菌処理時に60℃程度の熱がかかるため、プラスチック製の中でも耐熱性のあるボトルに使われます。

〇EB滅菌

EB滅菌とは、電子加速器を使用して電子線を照射する滅菌方法です。EB滅菌は、耐放射線性のある素材のボトルに利用され、滅菌強度が強い点が特徴となります。

以下では、水質検査におすすめのプラスチック製ボトルとして、サンプラテックが扱う5つのボトルを紹介します。

 

3-1.滅菌採水瓶(ハイポ入り)広口

滅菌採水瓶(ハイポ入り)広口

水質検査用に最適なハイポ入り広口ボトルです。

ハイポとはチオ硫酸ナトリウムのことで、塩素還元剤として採水した水の残留塩素を中和する役割(水中の塩素などハロゲンの単体を除く作用)があります。滅菌採水瓶(ハイポ入り)を使用することで、採水時点の菌数を精度高く測定可能です。

なお、水道原水には残留塩素は含まれないため、原水採取用の滅菌採水容器には、ハイポの入っていない採水容器を選びましょう。

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3-2.EOG角型滅菌採水瓶

EOG角型滅菌採水瓶

EOG角型滅菌採水瓶は、水質検査の採水瓶としてよく使用される角型のボトルです。丸型のボトルに比べて収納性に優れており、多くの検査サンプルを扱う場合に役立ちます。

なお本体にはPP(ポリプロピレン)、キャップ・中栓にはそれぞれHDPE(高密度ポリエチレン)・LDPE(低密度ポリエチレン)が使用されています。

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3-3.EOG滅菌瓶(PE広口)

EOG滅菌瓶(PE広口)

EOG滅菌瓶(PE広口)は、ポリエチレン製の滅菌ボトルです。ポリエチレン製のボトルは水質検査の採水用だけでなく、食品や化粧品、化学品のサンプル瓶としても使用できます。

100mlの小さいサイズから、1Lタイプまで取り扱っており、ケース販売だけでなく1本から購入可能です。

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3-4.EOG滅菌瓶(PP広口)

EOG滅菌瓶(PP広口)

EOG滅菌瓶(PP広口)は、ポリプロピレン製の滅菌ボトルです。ポリエチレン製ボトルと同様に、水質検査・食品・化粧品・化学品のサンプル瓶として用いられます。

広口のスクリューキャップ式容器であるため、検体の出し入れが容易です。EOG滅菌瓶(PP広口)は中栓が付いていませんが、本体口元の内角にキャップのインナーリングが密着する特殊シール構造となっているため、液漏れの心配がない点も特徴です。

一方で、EOG角型滅菌採水瓶・EOG滅菌瓶(PE広口)は、中栓付きのタイプとなっています。

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3-5.EB滅菌瓶(広口)

EB滅菌瓶(広口)

EB滅菌瓶(広口)は、本体にポリエチレン・キャップにポリプロピレンを使用したボトルです。採水用としてはもちろん、コンタミネーションが気になる場合の検査にも使用できます。

EB滅菌瓶(広口)は中栓がないタイプですが、本体口元の内角にキャップのインナーリングが密着する特殊シール構造を用いているため、液体・気体が外部に漏れにくくなっている点が特徴です。なお電子線照射を行っているため、本体・キャップが多少黄変しているケースもありますが、性能上は全く問題ありません。

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まとめ

水質検査容器は、水質検査に欠かせない備品であり、主にプラスチック製・ガラス製のボトルを利用します。特にビル管理法11項目・浴槽水4項目・雑用水2項目~6項目などの水質検査では、プラスチック製のボトルが使用される傾向です。

また、正確に水質検査を行うためには、滅菌済みのボトルを使用することが重要です。井戸水・プールなどの細菌検査の場合には、ハイポ入り滅菌採水ボトルを利用しましょう。

サンプラテックでは、多くの採水容器をラインナップしているため、水質検査容器をお探しの方は、ぜひご利用ください。

実験器具・機器メーカー販売サイト「PLA.com」