2021.8.3 IREMONOニュース

GL規格とは?ネジ規格の寸法・GL規格対応の樹脂製ボトルも紹介

GL規格とは?ネジ規格の寸法・GL規格対応の樹脂製ボトルも紹介

ものづくりにおいて、薬品などを研究向けの樹脂製ボトルに入れて保管するケースは多くあります。樹脂製ボトルを取り扱う際に知っておきたいネジ規格が「GL規格」です。GL規格への理解を深めれば、薬品の安全な取り扱いにもつながるでしょう。

当記事では、GL規格とはどのようなネジ規格なのか、実際の寸法やサイズを踏まえて解説します。ネジ規格がGL規格の樹脂製ボトルが増えている経緯や、GL規格に対応している樹脂製ボトルも紹介するため、ぜひ参考にしてください。

 

1.ネジ規格である「GL規格」とは?

GL規格とは、ガラスで作られた容器のキャップに用いられるネジ規格の標準です。ネジ規格は国や産業分野によってさまざまであり、基本的には統一されていません。しかし、ガラス容器に用いられるキャップのネジ規格には標準があります。

GL規格に該当する場合、キャップの部分に「GL-〇〇」の形式で数字が表示されていることが特徴です。たとえば「GL-8」「GL-25」などと表示されます。

 

1-1.【一覧表】GL規格の寸法・サイズ

GL規格には、ネジ口の外径によってさまざまな種類があります。基本的に「GL-」の後に続く数値は、ネジ口の外径に対応しています。各ネジ規格に対応する外径の参考値は、下記のとおりです。

ネジ規格 ネジ口の外径
GL-88mm
GL-1010mm
GL-1212mm
GL-1414mm
GL-1616mm
GL-1818mm
GL-2020mm
GL-2222mm
GL-2525mm
GL-2828mm
GL-3232mm
GL-3636mm
GL-4040mm
GL-4545mm
GL-5050mm
GL-5656mm
GL-6363mm
GL-7070mm
GL-8080mm
GL-9090mm
GL-100100mm
GL-112112mm
GL-125125mm

上記のとおり、各ネジ規格に応じてネジ口の外径が定められています。自分が使用する容器に対応したGL規格を選ぶためには、キャップ部分のおおよその外径を把握することが重要です。

 

2.メディウム瓶のネジ規格に多いGL規格の種類

メディウム瓶のネジ口は基本的にGL規格に準拠しており、キャップの色ごとに特徴があります。以下では、赤・青・黒・透明の4色のキャップごとに特徴を紹介します。

【赤キャップ】

対応GL規格 GL-25、GL-32、GL-45
キャップ材質 ポリブチレンテレフタレート
パッキンの素材 ニトリルゴムもしくはシリコンゴムの片面にポリテトラフルオロエチレン張り
※パッキンがないキャップもある
使用できる温度 パッキンがニトリルゴムであれば120度以内、シリコンゴムであれば180度以内

【青キャップ】

対応GL規格 GL-25、GL-32、GL-45
キャップ材質 ポリプロピレン
パッキンの素材 パッキンなし
使用できる温度 140度以内

【黒キャップ】

対応GL規格 GL-32、GL-45
キャップ材質 フェノール樹脂
パッキンの素材 エチレンプロピレンジエンゴム
※パッキンがないキャップもある
使用できる温度 パッキンが付いていれば150度以内、パッキンがなければ180度以内

【透明キャップ】

対応GL規格 GL-25、GL-32、GL-45
キャップ材質 TPXポリマー
パッキンの素材 パッキンなし
使用できる温度 140度以内

なお、メーカーによって細かい仕様は異なります。上記で紹介した特徴は、あくまで一般的な内容として押さえてください。

 

2-1.メディウム瓶のキャップを購入する際の注意点

メディウム瓶のキャップを単体で購入する際には、瓶のネジ口のサイズと異なるキャップを購入しないように注意してください。

ネジ口のサイズとは違うGL規格のキャップでも、メディウム瓶のフタを閉めることはできます。しかし、瓶を倒したり取り扱い方法を間違えたりすると、フタとネジ口の隙間から内容物が漏れる可能性があります。最悪の場合は損害が発生する恐れもあり、安全性を考えると異なるサイズのキャップの使用は望ましくありません。

多くの場合、キャップ上にGL規格が記載されています。事前に記載内容をしっかり確認したうえで、メディウム瓶のネジ口のサイズに合うGL規格のキャップを購入してください。

 

3.樹脂製ボトルのキャップにネジ規格はない?

樹脂製ボトルの中でも、飲料用に広く使用されているペットボトルのキャップのネジには、規格がありません。ペットボトルキャップのサイズや形は、メーカーによって決められています。

ただし、現在一般に出回っているペットボトルのキャップの多くは直径28mmです。これには、1960年代に初めて28mmキャップが開発されたことが影響しています。また、当時世界一のアルミニウムメーカーと呼ばれていたAlcoa社が1980年代にプラスチックキャップ市場に参入し、28mmキャップはさらに広まりました。

ペットボトルのキャップにはGL規格がなく、基本的にGL規格はガラス瓶にのみ用いられていると理解しておきましょう。

 

4.樹脂製ボトルのネジ規格がGL規格に準ずる事例

ペットボトルのキャップのネジには、基本的に規格がありません。ただし、いくつかの理由により、理化学分野で使う樹脂製ボトルではGL規格に準拠したキャップの製品が増加傾向にあります。

たとえば、ヨーロッパの歴史ある試薬メーカーでは、試薬容器としてGL規格に沿ったガラス瓶が採用されていましたが、ガラスの代替容器としてプラスチック製に切り替わる流れの中で、プラスチック製容器でもGL規格に準拠する容器のニーズが高まりました。

また、高純度試薬の増加により、近年は試薬の充填などを閉鎖系で行う機会が増加しています。そのため、メーカー間での共通のキャップを望む声が広がり、GL規格に準拠する樹脂製容器が増えてきました。

 

5.ネジ規格がGL規格に対応した樹脂製ボトル

サンプラテックでは、GL規格に対応した樹脂製ボトル「サンプラ(R)PFAボトル GL45」を取り扱っています。詳しい商品情報は、下記のとおりです。

【サンプラ(R)PFAボトル GL45の製品仕様】

サンプラ(R) PFAボトル GL45
  • GL-45に準拠した細口ボトル
  • 他社GL45規格のポート付きキャップに付け替えれば、閉鎖系での出し入れが可能
  • 通常のPFAボトルよりも肉厚であるため、本体が非常に強固
  • 本体側面の2箇所に溝形状が施されており、作業性抜群(1Lタイプのみ)
  • マイナス196度~260度の温度に対応
  • 酸やアルカリ、有機溶剤など、あらゆる薬品に対応する耐薬品性

「サンプラ(R)PFAボトル GL45」の口部は、他社のGL-45キャップとも互換性があります。製品サイズは500mlと1Lの2種類を用意しているため、必要に応じてサイズを選んで購入してください。

 

5-1.GL規格対応の樹脂製ボトルを特注する場合

サンプラテックは、実験機器のメーカーとして、1960年の創業から多方面に樹脂製容器を供給してきました。

世界でもほとんど見られない「PFAブロー成型技術」により、耐薬品性・耐熱性・純粋性に優れた樹脂製容器を製造することが可能です。GL規格に対応している「サンプラ(R)PFAボトル GL45」は、ドイツの製薬企業からの特注依頼により、製品化につながった商品です。

現在、サンプラテックの商品でGL規格に対応しているものは「サンプラ(R)PFAボトル GL45」だけですが、特注はいつでも受け付けています。希望に応じてほかのボトルでもGL規格に対応した製品を特注製作できるため、お気軽にご相談ください。

 

まとめ

GL規格とは、ガラスで作られた容器のキャップに用いられるネジ規格の標準です。メディウム瓶のネジ規格は基本的にGL規格に準拠していますが、ペットボトルのキャップにはネジ規格がありません。ただし、理化学分野で使用する樹脂製ボトルのネジ規格がGL規格に準ずる事例は増えています。

IREMONOでは、実験・研究・製造現場で使用される樹脂製ボトルに関して幅広い情報を発信しています。ものづくりや研究開発、実験・試験に携わっている人は、IREMONOで最新情報をチェックしてみてください。

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