プラスチックとガラスの違いは?理化学用ボトル・容器の選び方も解説
理化学分野で使用する容器の素材は、主にプラスチックとガラスの2種類です。プラスチックを使用した容器は「樹脂製容器」、ガラスを使用した容器は「ガラス瓶」と呼ばれ、それぞれに長所があります。
理化学用ボトル・容器を必要としていて、樹脂製容器とガラス瓶のどちらを選べばよいか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。当記事では、プラスチックとガラスの違いを解説し、理化学用ボトル・容器の選び方と代表的な商品も説明します。
1.プラスチックとガラスの違い
プラスチックとガラスはどちらも耐熱性や耐久性が優れている素材です。2つの違いとしては、プラスチックは軽い・衝撃に強い・耐薬品性が高い、ガラスは重い・耐熱衝撃に強い・耐酸性が高いという点が挙げられます。
また、プラスチックとガラスは材料の違いでさまざまな種類に分かれ、種類によっては異なる特性を持つことも少なくありません。以下では、プラスチックについては理化学製品に多いPE(ポリエチレン)・PP(ポリプロピレン)・PFA(フッ素樹脂)を、ガラスについてはホウケイ酸ガラスをメインに紹介します。
1-1.プラスチックの特徴
PE・PP・PFAに代表されるプラスチックは、一般的に熱可塑性樹脂と呼ばれる合成樹脂です。以下では、プラスチックの主な特徴を3つ紹介します。
- 比重が軽い
プラスチックは、基本的に比重が軽い素材です。比重(単位:グラム毎立方センチメートル)は、PEが0.91~0.965、PPが0.90~0.91であり、どちらも水に浮く性質を持っています。PE・PPよりも分子構造が複雑なPFAでも比重は2.12~2.17です。 - 機械的強度に優れている
高密度のPEやPP・PFAなどのプラスチックは硬さがあり、機械的強度に優れている素材です。素材の衝撃強さ(単位:J/m)は高密度のPEが22~216、PPが22~75、PFAは破壊せずとなっています。曲げ強さ(単位:Mpa)は高密度のPEが38~60、PPが41~55です。衝突・落下などの衝撃に高い耐性があります。 - 耐薬品性が高い
プラスチックは薬品に対する耐性が高い素材です。PE・PPは多くの無機酸・無機アルカリに対する耐性が、PFAは無機酸・無機アルカリに加えて有機溶剤への耐性もあり、化学薬品の保管に適しています。
1-2.ガラスの特徴
ホウケイ酸ガラスに代表されるガラスは、理化学用ではガラス器具に広く使用されている素材です。以下では、ガラスの主な特徴を3つ紹介します。
- 比重が重い
ガラスは比重が重い素材です。ホウケイ酸ガラスの比重(単位:グラム毎立方センチメートル)は2.34であり、プラスチックよりも重さがあります。ガラスは耐熱性も高く、熱湯に沈めることで煮沸消毒も簡単にできることが特徴です。 - 硬度や耐熱衝撃に優れている
ガラスはモース硬度で約5~6の硬度がある素材です。ホウケイ酸ガラスの曲げ強度(単位:Mpa)は25で、さらに耐熱衝撃にも優れています。急速な加熱・冷却に強いことが特徴です。 - 耐酸性が高い
ガラスは耐酸性が高い素材です。ホウケイ酸ガラスは塩酸・硫酸・硝酸などの腐食に強く、耐酸性の容器として優れています。一方で、40℃を超える温度のアルカリには腐食する恐れがある点に注意してください。
2.理化学用ボトル・容器を選ぶポイント
理化学用ボトル・容器は、用途に応じた素材を選ぶことが重要です。以下では、4つの用途別に、プラスチックとガラスのどちらがよいかを解説します。
- 薬品を小分けや運搬するときはプラスチック
プラスチックは軽量で、落下しても簡単には割れません。薬品の小分け・運搬やピペット操作に使用する容器はプラスチックが適しています。 - 容器を頻繁に交換するときはプラスチック
プラスチックは比較的安価で、大量に購入してもコストを抑えられることがメリットです。水質検査用の採水瓶など、容器を頻繁に交換する用途にはプラスチックが適しています。 - 薬品を長期保管するときはガラス
ガラスは高い耐薬品性があり、多くの薬品に腐食されにくい性質を持っています。薬品を長期保管するときはガラスがおすすめです。 - 容器を加熱するときはガラス
ガラスは耐熱性が高く、熱変形も起こしにくいことが特徴です。容器を直火や湯煎にかけるなど加熱が必要なときは、ガラスが適しています。
耐薬品性については、フッ化水素化合物などガラスを侵食させる薬品を使用する場合は、PFA製品でなければ対応できないこともあります。また、PFAは耐熱温度が260℃と高いものの、直火での使用は有毒ガス発生の可能性があることに注意してください。直火で使用する場合はガラス瓶が必要です。
3.【理化学分野】代表的な樹脂製ボトル6選
ここでは、理化学分野で使用される代表的な樹脂製ボトル6つを、それぞれの特徴とともに解説します。
■PE広口瓶
PE広口瓶はスタンダードなPE製ボトルで、ボトル口径が広く、固体や液体薬品の出し入れ・小分けがしやすい容器です。サイズは20ml~10Lの11種類をラインナップしており、100ml以上は目盛・中栓付きです。5L・10Lには、運搬時に便利なひもを通せる穴も付いています。
商品詳細を見る■サンプラ(R)PPボトル広口
サンプラ(R)PPボトル広口は透明度が高く、耐熱性・耐薬品性にも優れるPP製ボトルです。耐熱温度は約121℃でオートクレーブにも対応しています。サイズは20ml~2Lの8種類をラインナップしており、100ml以上は目盛付きです。中栓はなく、キャップをあけて薬品をすぐに出し入れする用途に適しています。
商品詳細を見る■サンプラ(R)PFAボトル GL45
サンプラ(R)PFAボトル GL45は、耐薬品性が高いPFA製ボトルです。ボトル本体は肉厚成型で、強い薬剤にも安心して使用できます。-196℃~260℃と優れた耐熱性・耐寒性も特徴です。サイズは500ml・1Lの2種類となっています。ボトルの口部はGL45に準拠しており、他社製のGL45ボトルキャップ部品に付け替えて使用することも可能です。
商品詳細を見る■PE広口遮光瓶
PE広口遮光瓶は遮光性に優れたPE製ボトルで、ボトル本体は光の波長220nm~800nmの透過率がほぼ0%です。サイズは100ml~10Lの8種類があり、目盛・中栓付きです。5L・10Lにはひもを通せる穴も付いています。次亜塩素酸水など紫外線に弱い薬品の保存に適している容器です。
商品詳細を見る■サンプラ(R)クリアー広口ボトル
サンプラ(R)クリアー広口ボトルは透明度がとても高く、ボトルの中身を確認しやすい樹脂製ボトルです。本体はK-RESIN製で、PP製のキャップも透明度が高い作りとなっています。サイズは30ml~2Lの7種類で、ボトル表面には数字表示が読み取りやすい目盛付きです。中栓なしでも液漏れしない構造で、効率的な作業が求められる食品・医療の現場に適しています。
商品詳細を見る■角瓶A型
角瓶A型は透明度が高く、角型タイプが特徴的なPP製ボトルです。角型タイプのボトルは設置場所の省スペース性に優れています。サイズは50ml~1Lの5種類で、ボトル表面には数字表示が読み取りやすい目盛と中栓付きです。なお、キャップ素材はHDPE、中栓素材はLDPEとなっています。耐熱温度はボトル本体が130℃、キャップ・中栓は80℃です。
商品詳細を見る
3-1.サンプラテックで取り扱うガラス瓶4選
ガラス瓶は液体薬品の保管などに向いている容器です。色は透明と茶色、口元は細口と広口があります。また、キャップに改ざん防止機能が付いているガラス瓶や、PE製パッキンにテフロンフィルムを貼り合わせて耐薬品性を高める対策がされたガラス瓶もあります。
サンプラテックで取り扱っている代表的なガラス瓶は下記の4つです。
容器内に入れる薬品と瓶本体・キャップ・パッキン素材の相性も考慮して、用途に適したガラス瓶を選択しましょう。
まとめ
プラスチックとガラスには、比重や衝撃への強さ、耐薬品性などの違いがあります。理化学用容器を選ぶときは、容器を日常的に出し入れするか、薬品の長期保管に使用するかなど、用途を考えることが重要です。
IREMONOサイトでは、PE・PP・PFAなどの樹脂や、理化学用ボトル・容器に関する充実した情報を掲載しております。理化学分野で使用する樹脂や容器について興味がある人は、ぜひIREMONOサイトをご利用ください。