HDPEとLDPEの違いとは？ポリエチレン製ボトルも紹介！
ポリエチレンとは、エチレンを重合して作られる熱可塑性樹脂のことです。薄いフィルム・ラップから厚みのある容器・チューブ・パイプまで、ポリエチレンは汎用性の高い樹脂として数多くの樹脂製品に使用されています。
ポリエチレンにはいくつかの種類が存在し、大きく分けると高密度ポリエチレン（HDPE）と低密度ポリエチレン（LDPE）の2種類です。当記事では、高密度ポリエチレン（HDPE）と低密度ポリエチレン（LDPE）の違いを解説し、理化学分野で使用されるポリエチレンの製のボトルについても紹介します。
目次
1.【比較】高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンの違い
高密度ポリエチレン（HDPE）と低密度ポリエチレン（LDPE）の最も大きな違いは、ポリエチレンの「密度」です。ポリエチレンの密度は、分子構造の違いによって生じます。
- ■高密度ポリエチレン（HDPE）の分子構造
側鎖が短く少ない短鎖分岐であり、分子同士が密に詰まることで高密度になる - ■低密度ポリエチレン（LDPE）の分子構造
長い側鎖が数多く存在する長鎖分岐であり、分子が嵩増しされるため低密度になる
ポリエチレンの密度は、素材としての性質にも影響しています。高密度ポリエチレン（HDPE）と低密度ポリエチレン（LDPE）がそれぞれ持つ性質の違いは、下記に示す表の通りです。
| HDPE | |
|---|---|
| 比重 | 0.94～0.965 |
| 性質 |
|
| 色味 | 白っぽく不透明 |
| 感触 | HDPEのフィルムはパリパリとした手触りがある |
| 用途 |
など |
| 耐熱温度 | 121℃ |
| LDPE | |
|---|---|
| 比重 | 0.91～0.92 |
| 性質 |
|
| 色味 | 透明～半透明 |
| 感触 | LDPEのフィルムはなめらかな手触りがある |
| 用途 |
など |
| 耐熱温度 | 82～100℃ |
高密度ポリエチレン（HDPE）は剛性・強度・耐熱温度が高く、耐久性を求められる保存容器やパイプに使用される素材です。一方、低密度ポリエチレン（LDPE）は柔軟性やヒートシール性、透明性の高さを活かし、フィルムや透明容器などの原料に使用されています。
1-1.リニア低密度ポリエチレン（LLDPE）との違い
リニア低密度ポリエチレン（LLDPE）とは、低密度ポリエチレン（LDPE）の一種です。リニア低密度ポリエチレン（LLDPE）の分子構造は短い側鎖が多い直鎖状であり、分子を嵩増しすることで低密度となっています。
リニア低密度ポリエチレン（LLDPE）と、高密度ポリエチレン（HDPE）・低密度ポリエチレン（LDPE）の違いは、下記の通りです。
- LLDPEの比重は0.91～0.925で、LDPEと同等である
- 強度はHDPEより低いものの、LDPEよりも高い
- LDPEよりも・LLDPEの透明性・成型加工性は劣る
- 薄いフィルム状でも強度に優れている
リニア低密度ポリエチレン（LLDPE）の特性は、高密度ポリエチレン（HDPE）と低密度ポリエチレン（LDPE）の中間に位置しています。主な用途は、食品包装用の袋やフィルムの原料です。
2.理化学分野で使用されるポリエチレン製ボトル
理化学分野で使用されるポリエチレン製ボトルは、一部例外はあるものの下記の素材で作られています。
| ボトルのパーツ・種類 | ポリエチレン素材の種類 |
|---|---|
| ボトル本体・キャップ | 高密度ポリエチレン（HDPE） |
| 中栓 | 低密度ポリエチレン（LDPE） |
| 洗浄瓶の本体 | 低密度ポリエチレン（LDPE） |
薬剤を保管するときに使うボトル本体・キャップは、強度の高い高密度ポリエチレン（HDPE）が適しています。ボトル口部にはめ込む中栓や、側面を押して液体を噴出させる洗浄瓶は、やわらかい低密度ポリエチレン（LDPE）が適した素材です。
ここからは、サンプラテックが販売するポリエチレン製のボトル・洗浄瓶の特徴や用途を紹介します。
2-1.ポリエチレン製ボトル
■PE広口瓶
PE広口瓶は、実験室・食品開発・化学工場など、幅広い用途に使用できるポリエチレン製ボトルです。耐化学薬品性に優れていて、広いボトル口部は液体・固形物の出し入れに適しています。PE広口瓶は容量別に20ml～10Lの11種類があり、100ml以上のボトルは中栓付きです。5L・20Lの製品にはヒモを通せる穴付きで、運搬に便利な取っ手付きも用意しています。
商品詳細を見る■ハイパック容器
ハイパック容器は、ボトル内部の凹凸が少ない寸胴タイプのボトルです。ボトル本体・キャップはポリプロピレン製で、中栓がポリエチレン製となっています。ハイパック容器は1L・1.5Lの2種類があり、粘度が高い物質や粉体の保管に最適な製品です。中に入れた物質を移動させるときは、ボトル内部に引っかかることなく取り出せます。キャップは積み重ねて収納できる平面形状で、中栓を付けることで内容物の流出・異物混入も防げます。
商品詳細を見る■サンプラ（R）ラボテナー 2つ口
サンプラ（R）ラボテナー 2つ口は、ボトル上面に付けられた2つ口が特徴的なポリエチレン製ボトルです。中に入れた液体を注ぐときは、2つ口を両方開けておくと気道を確保できます。気道を確保した状態であれば、注ぐときに液体が脈動せず、大きな飛散も発生しません。サンプラ（R）ラボテナー 2つ口は、10L・20Lの2種類があります。大容量のボトルが必要で、かつ液体の飛散を防ぎたいときに、おすすめのボトルです。
商品詳細を見る■タマカン
タマカンは、危険物の安全輸送に関する国際規格・UNマークを取得した、中栓付きのポリエチレン製タンクです。耐薬品性に優れたポリエチレンは酸やアルカリに侵されにくく、腐食の心配がありません。タマカンは10L・18L・20Lの3種類があります。ブロー成型で作られたタンクは接着による境目がなく、危険物の輸送・保管や使用後の洗浄も簡単に行える製品です。
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2-2.ポリエチレン製洗浄瓶
■マルチ洗瓶
マルチ洗瓶は、ビー玉おもり付きのジャバラノズルが特徴的なポリエチレン製洗浄瓶です。ジャバラノズルはビー玉の重みで曲がり、本体を斜め持ちや逆さ持ちで使っても薬液をしっかりと吸い上げます。内部の液量が減ったときも、最後まで吸い上げることが可能です。マルチ洗瓶は容量別に500ml・1Lの2種類があり、ノズル先端カラーを赤・青から選べます。
商品詳細を見る■やわらか洗瓶ソフティー
やわらか洗瓶ソフティーは、本体を握るときの感触がソフトなポリエチレン製洗浄瓶です。ノズルはビー玉おもり付きのジャバラノズルで、さまざまな角度で使うこともできます。本体にやわらかい材質を使用しており、力をかけなくても薬液を噴射しやすいため、一般的な洗浄瓶は硬くて使いにくい人におすすめです。やわらか洗瓶ソフティーは500mlのみを販売しています。
商品詳細を見る■KUBIRE洗瓶（ディンプル付洗瓶）
KUBIRE洗瓶（ディンプル付洗瓶）は、容器側面にくびれが付いたポリエチレン製洗浄瓶です。くびれ部分を握ることで洗浄瓶をしっかりとホールドでき、押し込んで薬液を噴射しやすくなっています。一般的な洗浄瓶は太くて持ちにくい・押しにくい人におすすめです。KUBIRE洗瓶（ディンプル付洗瓶）は1Lのみを販売しています。付け外しできる先端ノズルとノズルポケット、ビー玉おもり付きのジャバラノズルも採用された製品です。
商品詳細を見る■ジャージャー洗瓶TM
ジャージャー洗瓶TMは、理化学器具の純水置換洗浄に便利なポリエチレン製洗浄瓶です。キャップに複数の小さな穴が空いており、本体を押し込むとシャワー状に水を噴射できます。ビーカーやトレーなどの面積が大きい器具を効率的に洗浄したいときにおすすめです。ジャージャー洗瓶TMは、500ml・1Lの2種類があります。キャップに被せるオーバーキャップ付きで、コンタミ防止も考えられている製品です。
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まとめ
高密度ポリエチレン（HDPE）は、保存容器に適した剛性・強度を持つ素材です。対して低密度ポリエチレン（LDPE）は、フィルムや透明容器に適した柔軟性・透明性を持つ素材です。サンプラテックでは、さまざまなポリエチレン製のボトル・洗浄瓶を販売しております。
樹脂製容器についてより詳しい情報を知りたいときは、IREMONOサイトをご利用ください。IREMONOサイトでは、樹脂製品や理化学分野で使用するボトルに関する情報を随時発信しています。
