プラスチックを取り巻く環境問題|環境に配慮した実験・研究用樹脂製容器を紹介
プラスチックは、日常生活だけでなく、企業活動にも欠かせない素材です。しかし、近年は自然環境破壊が社会問題化していることもあり、通常のプラスチック製品だけでなく、環境に配慮したバイオプラスチック製品の併用も求められています。「CSR活動の一環で自然保護に取り組みたい」「SDGs達成に貢献したい」という場合は、環境に優しいプラスチック製品への切り替えすることも1つの方法です。
今回は、「地球温暖化」「石油資源の枯渇」「海洋汚染」という環境問題とプラスチックの関わり、理化学分野で使用できる環境に配慮した樹脂製容器・ボトルを紹介します。
1.プラスチックを取り巻く3つの環境問題
プラスチックは、高分子化合物で作られる、合成樹脂とも呼ばれる素材です。丈夫で軽く簡単に加工できることから、容器・ボトルや包装など、さまざまなプラスチック製品が生産されています。しかし、プラスチックの耐久性・安定性の高さが、自然環境に関係することもあります。まずは、どのような環境問題にプラスチックが関係するのかを知っておきましょう。
1-1.地球温暖化
地球温暖化は、二酸化炭素などの温室効果ガスによって、地球の気温が上昇する現象です。温室効果ガスは、地上から放射される熱を吸収し、再び大気に放射します。熱の吸収・再放射によって地上の温度も上がるというのが、地球温暖化の仕組みです。気温・海面水位の上昇だけでなく、ゲリラ豪雨や集中豪雨、強力な台風などの異常気象も、地球温暖化が原因だと考えられています。
「気候変動に関する政府間パネル」では、1880年~2012年の間に、世界の平均気温は0.85℃上昇したと発表しています。このまま地球温暖化対策を行わなかった場合、2081年~2100年には2.6~4.8℃も平均気温が上がると予測されています。地表の水分が干上がり、自然の生態系にも影響が出れば、人間が生きていくために必要な食料や水分を確保することができません。
地球温暖化を食い止めるには、温室効果ガスとなる二酸化炭素の排出を削減する必要があります。そこで、日本では2050年までに温室効果ガスの排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指し、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入を進めています。また、プラスチックを燃やすことによる温室効果ガスの排出を減らすために、レジ袋の有料化・紙ストローの利用推進など、プラスチックを使い捨てしない取り組みも始まりました。
1-2.石油資源の枯渇
プラスチックの原料は有限資源である石油であり、いずれは石油資源が枯渇することも環境問題として取り上げられています。石油は、石炭・天然ガスといった化石燃料の1つです。石油を採掘できるのは、あと40~50年ほどと言われています。石油は、ペットボトルやポリ袋などのプラスチック製品以外に、ガソリンや燃料、シャンプーや洗剤、衣類の化学繊維にも使われている原料です。
石油がなくなってしまうと、プラスチック容器を使った研究・実験だけでなく、暮らしを営むことも難しくなります。そのため、プラスチックごみの分別・リサイクルを推進し、資源を無駄にせず有効利用する動きが活発化しています。使い捨て容器の廃止・マイバッグやマイボトルの利用推奨も、プラスチックの使用削減を図る活動の1つです。
プラスチックを資源ごみとして正しくリサイクルしたい人は、リサイクルマークの意味についても理解しておきましょう。
1-3.海洋汚染
海洋汚染とは、陸上から海上に多くのプラスチックごみが流出することによる環境問題です。どれだけ再利用に取り組んでも、プラスチックごみのポイ捨てや不法投棄をする人は少なくありません。適切に処理されないプラスチックごみが行きつくのは海です。プラスチックは物質の特性上、自然に分解されません。海には水の循環による自浄作用がありますが、海洋ごみの増加に伴い、自浄作用が追いついていない状況です。
海に流出したプラスチックごみは、そのまま海を漂い続け、海鳥やウミガメ、クジラなどの生き物が誤って食べてしまうこともあります。また、5mm以下のマイクロプラスチックは、海に流出すると回収することは不可能です。プラスチックごみによる海洋汚染は、海洋生態系だけでなく、人体の健康被害にも影響が及びかねません。2050年には、魚よりもプラスチックごみの量が上回るという予測も出ています。
海洋ごみ対策にあたっては、「リデュース」「リユース」「リサイクル」の「3R」を徹底することが大切です。本当に必要なプラスチックだけを使い、できるだけ廃棄をせず、何度も使い続けることは、海に流出するプラスチックごみを減らすことにつながるでしょう。
2.理化学分野におけるプラスチック環境問題とは?
実験・研究・製造現場などでも、ボトルや容器などのプラスチック製の消耗品は多く使用されています。研究などで使用したボトルや容器は、産業廃棄物として正しく処理されるため、海洋汚染などに大きな影響を与える可能性はありません。しかし、プラスチック製品の製造にあたっては、一般製品と同様に石油資源を使ったり、二酸化炭素を排出しているのが現状です。
理化学シーンでは、用途や使用条件のほか費用面なども含めて製品が選定されます。プラスチック製品が必要となるケースも多く、同製品を継続的に利用する必要性があったり、代替品が少なかったりするため、「環境問題の解決に取り組みたい」と考えていても大きなアクションを取りにくいという場合もあります。
しかし、近年では理化学シーンでも環境に配慮する意識が徐々に広がり、使用に支障をきたさない場合は、バイオプラスチック製品に切り替えることも選択肢の1つです。理化学シーンに適しているバイオプラスチック製品も新しく登場しています。通常のプラスチック製品からバイオプラスチック製品に切り替えることは、企業のSDGsやCSR活動の一環にもなるでしょう。
バイオプラスチックの製造方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
3.環境に配慮した樹脂製容器・ボトル
理化学シーンの研究・実験・製造現場においても、環境に配慮することは可能です。通常のポリエチレン製から切り替えても問題がない場合は、バイオポリエチレン製の容器・ボトルに切り替えを検討してみましょう。サンプラテックでは、バイオポリエチレン製の容器・ボトルも提供しています。
3-1.サンプラ(R) バイオプラ PE広口ボトル
バイオプラ PE広口ボトルは、口が広く中身の出し入れがしやすい、バイオポリエチレン製のボトルで100ml・250ml・500ml・1Lのサイズを展開しています。
石油由来のPEボトルとは、ポリエチレンの原料が異なるだけで、容器として性能は同レベルを発揮します。耐化学薬品性に優れていることから、実験室から化学工場まで、幅広い用途におすすめです。商品詳細を見る
3-2.サンプラ(R) バイオプラ PEディスカップ
サンプラ(R) バイオプラ PEディスカップは、メモリ付きで使いやすく、環境に優しいバイオポリエチレン製のカップです。100ml・500ml・2Lのサイズを取り扱っています。
廃棄物として焼却しても二酸化炭素の排出は実質ほぼゼロとなる、カーボンニュートラルを実現できます。また、従来のポリエチレンと性能は変わらないため、「少しでも環境問題の解決に寄与したい」「自然を保護したい」という場合は使用を検討してみてください。
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まとめ
プラスチックは、地球環境にも関わる重要な素材です。地球温暖化や石油資源の枯渇、海洋汚染など、現代はさまざまな環境問題に直面しています。環境問題を解決することは決しては簡単ではありませんが、一人ひとりの取り組みが重要となります。理化学シーンでも環境意識が高まってきているため、特に支障をきたさない場合は、通常のプラスチック製品からバイオプラスチック製品への切り替えを考えてみてはいかがでしょうか。
IREMONOサイトでは、そのほかにもプラスチックに関する重要なニュースや、理化学シーンにおすすめの樹脂製容器を紹介しています。