識別マーク・リサイクルマークとは?プラマーク付き樹脂製容器も
3R政策の一環として、容器・包装の製造・利用に携わる事業者には、識別表示の遵守が求められています。また識別表示以外にも、各業界などで推奨しているマークもあるため、製造・開発に関係する事業者の方は、識別マーク・リサイクルマークに関して理解を深めることが大切です。
この記事では、識別マーク・リサイクルマークの概要や主な種類、および理化学シーンの使用に最適な「プラマーク付き樹脂製容器」を紹介します。
1.識別マークとは?
識別マークとは、「資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)」に基づいたマークで、指定表示製品5種類に関してその材質を示したものです。
以下は、識別マークの表示義務を負う事業者であり、遵守事項を守らない場合、国から勧告・公表・命令などが適用され、重い場合は「罰則」が課されます。
【識別表示の義務を負う事業者】
- 容器の製造事業者
- 容器・包装の利用事業者、発注事業者
- 容器・包装を付した商品の輸入販売事業者
1-1.識別マーク・リサイクルマークの種類
識別表示の目的は、消費者における分別廃棄の促進や、自治体における分別収集の効率化などが挙げられます。
以下は、主な識別マークや、リサイクルマークなどの種類です。
マークの種類
(※)…識別マーク意味
スチール缶マーク(※)飲料・酒類のスチール缶に表示される、丸型のマークです。
アルミ缶マーク(※)飲料・酒類のアルミ缶に表示される、三角型のマークです。
ペットボトルマーク(※)飲料・酒類・特定調味料のペットボトルに表示される、三角型のマークです。特定調味料には、醤油・みりん風調味料・食酢・ノンオイルドレッシングなどが挙げられます。
プラマーク(※)上記ペットボトル以外のプラスチック製容器に表示される四角型のマークです。
紙マーク(※)紙製の容器包装に表示される、楕円型のマークです。ただし、ダンボールやアルミニウムを使用していない「飲料用紙パック」に関しては対象外となっています。 ダンボールマーク ダンボールマークは、識別表示の義務はなく、全国段ボール工業組合連合会が推奨している丸型のマークです。ダンボールマークの「ダンボール」の文字以外には、「国際リサイクル・シンボル」が使用されています。 紙パックマーク アルミニウムが使用されていない紙パック製容器包装に表示するマークです。識別表示の義務はなく、飲料用紙容器リサイクル協議会が推奨しているマークとなっています。 グリーンマーク 古紙再生促進センターが認定した再生紙に表示される三角型のマークです。原料として、古紙を原則40%以上利用した製品に表示できます。 再生紙使用(R)マーク 再生紙の「古紙パルプ配合率」を表示するマークです。例えば「R100」というマークであれば、古紙パルプ配合率が100%の再生紙を使用しています。 ペットボトルリサイクル推奨マーク 使用済みペットボトルをリサイクルして製造された商品に表示できるマークです。 牛乳パック再利用マーク 牛乳パックを再利用した製品に付けられるマークで、「パックマーク」とも呼ばれます。 エコロジーボトルマーク 再生ガラスを90%以上使用したガラス瓶(エコロジーボトル)に表示できるマークです。 Rびんマーク 日本ガラスびん協会が、「規格統一リターナブルびん」と認定した瓶に表示できるマークです。同じ規格の瓶を様々な商品に活用することで、リユース効率が向上します。 エコマーク 公益財団法人日本環境協会が商標権を保有しているマークです。商品カテゴリーごとに、認定基準が決まっています。 小形二次電池マーク 回収対象の小型二次電池(充電式電池)に表示されるマークです。 塩化ビニル製建設資材マーク 解体時の分別を容易にするために、塩化ビニル(PVC)製の建設資材に表示されるマークです。 含有マーク 電機・電子機器に関して、鉛・水銀・カドミウム・六価クロム・ポリブロモビフェニル ・ポリブロモジフェニルエーテルの含有率が、基準値を超えている際に表示するマークです。 非含有マーク グリーンマークとも呼ばれ、上記6種類の物質の含有率が基準値以下であることを示すマークです。 統一美化マーク ポイ捨て防止マークとも呼ばれる、飲料容器の散乱防止・リサイクルの促進を目的としたマークです。
出典:食品容器環境美化協会「リサイクルに役立つマーク(一覧)」
なお、大学の研究室や研究機関、企業の研究開発や製造部門などでも、識別表示に沿った分別が求められるほか、産業廃プラスチックの捨て方にも注意が必要です。
2.プラスチックのリサイクルマーク
日本で使用されるプラスチックのリサイクルマークは、以下の2種類です。なお、プラマークには、PP・PEなど、プラスチックの種類を示す略号を付けることが推奨されています。
リサイクルマーク プラスチックの種類 対象プラスチック プラ PET以外 プラスチック製容器包装 01
PETPET 飲料・酒類・特定調味料用のペットボトル
出典:経済産業省「識別表示」
一方で、容器包装リサイクル法の制定前までは、米国プラスチック産業協会が定めた、7種類のコード(米国SPIコード)が日本でも使用されていました。
SPIコード(米国) 材質記号(日本) 樹脂の種類 1
PETEPET ポリエチレンテレフタレート 2
HDPEPE 高密度ポリエチレン 3
VPVC ポリ塩化ビニル 4
LDPEPE 低密度ポリエチレン 5
PPPP ポリプロピレン 6
PSPS ポリスチレン 7
OTHERPE・M・PPなど 1~6に該当しないその他の樹脂
3.理化学業界向けプラマーク付き樹脂製ボトル
理化学業界で使用頻度が高いプラスチック製のボトルや容器などには、プラマークがついていない製品も多数あります。
しかし、環境問題への関心の高まりから、今後理化学業界でもプラマーク付きの製品が増加するでしょう。近年は、環境保全やSDGsを意識した経営も企業に求められています。研究や製造に関わる方や購買担当者は、理化学製品のプラマーク表示にも注意し、製品選定に役立てましょう。
理化学業界向けプラマーク付き製品では、GL45規格に対応したPFAボトルがあります。
■サンプラ(R)PFAボトル GL45
サンプラ(R)PFAボトル GL45は、GL規格に対応・プラマーク表示付きの、樹脂製ボトルです。
サンプラ(R)PFAボトル GL45に表示しているプラマークは、米国SPIコードの7番です。
GL規格については、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
サンプラ(R)PFAボトル PFAボトルは、-196℃~260℃まで使用可能と、耐熱・耐寒性に優れているだけでなく、酸・アルカリや有機溶剤にも使用できる耐薬品性が特徴です。GL45規格対応PFAボトルは、同規格の他のキャップと互換性があり、通常のPFAボトルよりも肉厚の構造であるため、強い薬品でも安心して保管できます。
まとめ
資源有効利用促進法により、「プラスチック製容器包装」「紙製容器包装」「ペットボトル」「飲料・酒類用スチール缶」「飲料・酒類用アルミ缶」に関しては、識別表示が義務化されています。ものづくりに関わる企業の方、研究・開発を行っている方は、マークに準じた分別はもちろん、SDGsの観点から、環境に配慮した製品を選ぶことも大切と言えるでしょう。
また、IREMONOサイトでは、樹脂製容器の専門サイトとして、樹脂に関するコラムや理化学分野に適した樹脂製容器の情報を紹介しているため、ぜひ併せてご参考ください。