2021.10.4 容器機能

プラスチック(樹脂)の見分け方|代表的な3素材の特徴も

プラスチック(樹脂)の見分け方|代表的な3素材の特徴も

種類によって性質が大きく異なるプラスチック(樹脂)は、種類に応じた使い分けを徹底したいものです。一方で、表面を見ただけでは種類の判別が難しいことも樹脂の特徴と言えます。樹脂の「見分け方を知りたい」「種類に応じた正しい使い方をしたい」という人も多いでしょう。

そこで、この記事では、樹脂や樹脂製容器の見分け方を紹介します。樹脂の見分け方が分からず管理に苦慮している人は、ぜひ当記事を参考にして樹脂を正しく使い分けてください。

 

1.プラスチック(樹脂)の3つの見分け方

樹脂素材の基本的な見分け方には、3つの方法があります。透明度・曲げた際の変化・水につけた際の状態を確認することです。樹脂素材の種類を見分けたい場合は、3つの方法を組み合わせて判別しましょう。

なお、「燃やす」という見分け方もあります。ただし、樹脂を燃やすと有害なガスが発生したり、火災につながったりする可能性があるため、他の方法と比べると危険です。原則として「燃やす」以外の方法で、樹脂の種類を見分けるようにするとよいでしょう。

 

1-1.透明度で判別する

透明度で判別する方法とは、樹脂の素材自体の色味で見分ける方法です。着色されていない樹脂素材は、種類によって透明のもの、乳白色のものと色味に違いがあります。

透明度 樹脂の種類
無色で透明度が高いものアクリル樹脂(PMMA)、PET樹脂、ポリスチレン樹脂(PS)、AS樹脂
乳白色で半透明のものポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM)
透明度が低いものABS樹脂、硬質ポリ塩化ビニル(PVC)

上記のように樹脂素材の透明度は、大きく分けて無色透明・半透明・不透明の3種類が存在します。

 

1-2.曲げて判別する

曲げて判別する方法とは、樹脂素材を曲げた際に起こる、割れる・色が変わるといった変化の違いから樹脂の種類を見分ける方法です。

曲げた際の変化 樹脂の種類
割れるものアクリル樹脂(PMMA)、ポリスチレン樹脂(PS)、AS樹脂
割れないが白くなるものABS樹脂、硬質ポリ塩化ビニル(PVC)
柔らかく変化がないものポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)

曲げた際の変化は樹脂素材の柔らかさによって異なり、硬いアクリルなどは割れてしまう一方、柔らかいポリエチレンはそのまま形が変わるだけという違いがあります。

 

1-3.水につけて判別する

水につけて判別する方法とは、容器に入れた水の中に樹脂素材をつけ、浮くか沈むかを見て種類を判別する方法です。

水につけた際の状態 樹脂の種類
水に浮くものポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)
水の中に沈むものアクリル樹脂(PMMA)、ポリスチレン樹脂(PS)硬質ポリ塩化ビニル(PVC)、PET樹脂

水の比重が1.0であるため、比重が約0.9のポリエチレンやポリプロピレンは水に浮きます。一方で、比重が大きく1.2以上あるアクリル樹脂などは水に沈むため、判別が可能です。

 

2.理化学分野で使用される代表的な樹脂製容器の見分け方

樹脂製容器の場合、「透明度」「比重(製品の重さ)」「撥水・撥油性」に着目することで、樹脂の種類を見分けやすくなります。理化学分野で使われる代表的な3つ樹脂製容器として、「PE広口瓶」「サンプラ(R)PPボトル広口」「サンプラ(R)PFA広口ボトル(中栓なし)」を例に、見分け方を解説します。

樹脂製容器ポリエチレン(PE)
■PE広口瓶500ml
ポリプロピレン(PP)
■PPボトル広口500ml
フッ素樹脂(PFA)
■PFA広口ボトル500ml
透明度乳白色で半透明高い透明度高い透明度
比重0.94~0.97
(PE広口瓶500ml、本体の重さ42.4g)
0.90~0.91
(PPボトル広口500ml、本体の重さ38.7g)
2.12~2.17
(PFA広口ボトル500ml、本体の重さ101.8g)
撥水・撥油性による特性油性マジックで書くことができ、こすっても落ちにくい油性マジックで書くことができ、こすっても落ちにくい油性マジックで書くことができない

 

2-1.ポリエチレン(PE)の見分け方・特徴

ポリエチレン(PE)とは、化学的に安定し毒性がなく耐衝撃性などに優れ、丈夫といった特徴を備える合成樹脂の一種です。ごみ袋などのポリ袋類やフィルムケースといった容器から梱包材まで幅広い用途で使用されます。基本的には、柔らかく衝撃に強い樹脂です。

ポリエチレンには、密度の異なる低密度ポリエチレン・高密度ポリエチレン・超高分子量ポリエチレンの3種があります。

■PE広口瓶

PE広口瓶

化学的に安定性が高いポリエチレン樹脂を使用している容器であるため、食品から薬品まで安心して保存することができます。広口で出し入れしやすい形状であり、液体・粉末など内容物の形状を問わず保存可能です。

PE広口瓶は、ボトル本体に高密度ポリエチレン(HDPE)を使用しているため、PPボトルやPFAボトルに比べ透明度が低く、乳白色な点が見分ける際のポイントとなるでしょう。

リーズナブルな価格で、容量も11種類から選べるラインナップを取り揃えており、あらゆるシーンで気軽に使用可能な汎用性の高さが魅力の商品です。

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2-2.ポリプロピレン(PP)の見分け方・特徴

ポリプロピレン(PP)とは、耐熱性が高く、軽くて光沢がある樹脂です。耐熱性を生かして電子レンジ対応の食品用容器の材料として多く使われています。透明度の高さを生かしたフィルムも人気があり、包装材としての需要も高い樹脂です。

また、耐薬品性も高いため、化学製品や医薬品の容器・医療部品・哺乳器具など多様なジャンルの製品に使われています。

■サンプラ(R)PPボトル広口

サンプラ(R)PPボトル広口

耐熱性に優れたポリプロピレン(PP)を使用しているサンプラ(R)PPボトル広口は、高温になるオートクレーブ滅菌にも対応しています。滅菌を徹底したい実験や医療現場でも安心して使用可能です。

透明度で判別する場合は、PFAボトルも同様の透明度を備えるため注意が必要です。PPボトルとPFAボトルの判別には、製品本体の重さや、油性マジックで書けるかどうかがポイントとなります。PPボトルの場合は、同一容量のボトルであればPFAボトルより軽く、油性マジックで書くことができます。

耐薬品性の高さも魅力の本商品は、酸・アルカリのどちらにも高い耐性を示しており、さまざまな薬品の保存ができる点も強みです。容量に合わせて選べる8種類のサイズを展開しています。

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2-3.フッ素樹脂(PFA)の見分け方・特徴

フッ素樹脂(PFA)とは、フッ素の原子を含む樹脂類を指し、優れた耐寒性・耐熱性が特徴です。耐薬品性にも優れており、安定性の高さから半導体製造になくてはならない樹脂となっています。

フッ素樹脂(PFA)には多くの種類があり、代表的なものがポリテトラフルオロエチレン(PTFE)です。

高い電気絶縁性や耐候性を備えるフッ素樹脂(PFA)は機能性の高さが魅力ですが、燃やすと有毒性のガスが発生する性質もあるため注意しましょう。

■サンプラ(R)PFA広口ボトル(中栓なし)

サンプラ(R)PFA広口ボトル(中栓なし)

フッ素樹脂(PFA)を使用したことで、260℃の高温からマイナス120℃の低温まで耐えられるサンプラ(R)PFA広口ボトルは、シーンを問わず活用できる樹脂製容器です。オートクレーブ滅菌はもちろんのこと、冷凍保存時も安心して使えます。

PFAボトルは撥水・撥油性の特徴から、油性マジックで書くことができません。また、非粘着性にも優れているため、セロハンテープなどを貼ることもできません。このように身近な文房具でも、樹脂製ボトルの材質を判別することができます。

酸・アルカリに加えてあらゆる有機溶剤を保存できます。世界でも数少ないブロー成形品です。

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まとめ

違いの分かりにくい樹脂を見分ける際は、透明度・柔らかさ・比重などに着目すると安全に見分けることができます。種類を正確に把握して、樹脂の特性をふまえて使い分けるようにしましょう。

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