UN規格とは?UN規格対応の樹脂製ボトルも紹介
危険物の収納などにプラスチック容器(樹脂製容器)を使用する場合は少なくありません。樹脂製容器を使って危険物の収納や船舶輸送を行う際に覚えておきたい規格が、「UN規格」です。危険物を安全に保管・運搬するためには、UN規格に対する理解を深める必要があります。
当記事では、UN規格がどのような意味なのか、樹脂製容器にどのように関わっているのかを解説します。UN規格対応の樹脂製ボトル・容器も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
1.UN規格とは?
UN規格とは、国際的な危険物輸送が可能であることを証明する規格のことです。一般財団法人日本舶用品検定協会により認証され、日本における消防法の基準も満たしていることを表します。
UNは「United Nations」の略であり、UN規格は国連による国際的な基準です。そのため、UN規格に適合する容器は、陸上・海上・航空による国際輸送にも使用できます。
1-1.UN規格とKHK規格の違い
KHK規格は、消防法の基準を満たしている場合に取得できる規格です。危険物保安技術協会によって認証されます。UN規格と同様に、KHK規格に適合する容器には危険物を充填することが可能です。
しかし、KHK規格で許可されている輸送方法は、国内における陸上輸送に限られます。そのため、KHK規格に対応している容器では、船舶や飛行機による国際輸送ができません。UN規格とKHK規格は、危険物などを充填する容器に関する規格であることは共通しているものの、許可されている輸送方法が異なる点に注意しましょう。
2.UN規格適合を示す「UNマーク」
UN規格に適合した容器には、「UNマーク」が記載されます。UNマークにはさまざまな記号が用いられるため、UN規格を満たした樹脂製容器を使用する際は各記号の意味を理解することが重要です。
一般的に、UNマークには以下の記号が用いられます。
【UNマークの例】1A1/X 1.2/100/15/J/HK/A | |
---|---|
1A1 | 容器コード |
X | 容器等級 |
1.2 | 比重または質量 |
100 | 液体または固体 |
15 | 製造年 |
J | 承認国の略 |
HK | 検査機関の略 |
A | 製造者の略 |
容器コードは、容器の種類や材質に応じて記号が定められています。一例として、上記の「1A1」が表す内容は以下のとおりです。
1A1が表す内容 | |
---|---|
1 | 容器の種類が「ドラム」 |
A | 容器の材質が「鋼」 |
1 | 容器の仕様が「天板固着式」 |
また、容器等級は収納物の危険性に応じて以下の3パターンに分けられています。
容器等級 | |
---|---|
X | 等級1・2・3の危険物を収納できる |
Y | 等級1・2の危険物を収納できる |
Z | 等級1の危険物を収納できる |
さらに、「液体または固体」の表記では、液体の場合は水圧検査での圧力(kPa)を、固体の場合は「S」と記載します。
2-1.国際輸送時:UNマーク以外に必要な表示
国際輸送時には、UNマーク以外にも品名や国連番号、危険物クラスの表示が必要となります。国連番号とは、「UN+4桁の数字」で表記され、大まかな品名が分かるようにするための番号です。たとえば、「UN0004」は「ピクリン酸アンモニウム」を表します。
危険物クラスは、危険物を分類するための番号であり、以下の9クラスに分けられます。
【9つの危険物クラス】
- 火薬類
- 高圧ガス
- 引火性液体
- 可燃性固体
- 酸化性物質
- 毒物および伝染性病原体
- 放射性物質
- 腐食性物質
- 有害性物質
化学物質や危険物を国際輸送する際は、UNマークだけでなく、国連番号や危険物クラスの表記も確認してください。
3.危険物の運搬容器に関する法的基準
危険物を入れる容器に基準が設けられている背景の一つには、消防法による規制が挙げられます。消防法では、危険物の運搬について以下のように定めています。
第十六条 危険物の運搬は、その容器、積載方法及び運搬方法について政令で定める技術上の基準に従つてこれをしなければならない。
また、「危険物の規制に関する規則」の第四十一条では、危険物の運搬が可能な容器の材質として、金属板やゴム類のほか、プラスチックが挙げられています。ただし、同規則の第四十二条および第四十三条で定められている条件を満たしていることが必須です。
【危険物の運搬にプラスチックを用いる際の条件の例】
- 簡単に破裂しない強度がある
- 収納された危険物が容器の口から漏れない
- 固体・液体の危険物を収納する容器の構造・最大容積に関する基準を満たす
- 落下試験や気密試験、内圧試験、積み重ね試験における基準を満たす
上記のとおり、危険物の運搬に用いる樹脂製容器には法律によってさまざまな基準が設けられています。
4.UN規格対応の樹脂製容器は海上輸送以外にも使える?
UN規格に対応した樹脂製容器は、海外輸送用だけでなく、保管用としても活躍します。落下試験や気密試験などの基準に適合しているため、多少の衝撃では破裂しない強固さや耐久性を備えていることが、UN規格対応の樹脂製容器の特徴です。
そうした安全面における信頼度の高さから、医薬品・化粧品・食品・半導体など、ものづくりに関わる幅広い分野でUN規格対応の容器が使用されています。危険物を海上輸送する機会がそれほど多くなくても、安心・安全に危険物などを保管・運搬したい場合は、UN規格対応の樹脂製容器を活用するとよいでしょう。
5.【UN規格対応】樹脂製ボトル・容器
UN規格の容器は、主に輸送や保管で使用されることから、タンクなど大型容量の容器が多い傾向にあります。その点、サンプラテックでは500mlのボトルから20Lのタンクまで取り扱いがあるため、用途に応じて購入することが可能です。最後に、サンプラテックが取り扱っているUN規格適合商品を紹介します。
■PEクリーンボトル
PEクリーンボトルは、UN等級「1H1/Y1.5/200」のペットボトル型容器です。優れた気密性やクリーン度が特徴であり、半導体や液晶などの分野で豊富な実績があります。PEクリーンボトルは通常タイプと遮光性タイプに分かれており、それぞれ500mlと1Lの商品があるため、用途に応じた使い分けが可能です。ボトルの仕様は、500mlがφ75mm×195mm、1Lがφ102mm×195mmとなります。危険物を小分けにして保管したい場合や、棚などの狭い所に保管したい場合におすすめです。
■タマカン
タマカンは一体成形で作られた、中栓キャップが付いているポリタンク型の樹脂製容器です。原料にポリエチレンを使用しており、内容物が酸性やアルカリ性でも腐食を防止できるため、危険物を長期間にわたって保管することもできます。また、10L・18L・20Lとさまざまな容量を用意しており、保管スペースに応じた大きさの容器を購入できます。販売単位は1本と4本セットがあり、4本セットの場合は1本だけで購入するよりも販売価格がお得です。複数の容器を探している人は、まとめ買いをぜひご検討ください。
■偏平缶
偏平缶は、「Y1.3/200」のUN規格適合商品です。横350mm×縦180mm×高さ410mmと縦長の形をしているため狭いスペースでも納まりやすく、作業性が高いという特徴があります。細口タイプとなっており、中身の入れ替えや取り出しがスムーズに行える点もポイントです。
まとめ
UN規格とは、危険物の国際輸送が可能であることを表す規格です。UN規格に適合する容器は、陸上・海上・航空など、あらゆる輸送方法での使用が可能となります。プラスチックは法律により危険物の運搬容器に使用できると認められた素材であり、UN規格に対応する樹脂製容器も販売されています。
サンプラテックでは、「PEクリーンボトル」「タマカン」「偏平缶」などUN規格対応の樹脂製容器を取り扱っています。できるだけ安全に商品を保管・運搬したい場合は、UN規格に適合しているサンプラテックの樹脂製容器をぜひご活用ください。