2021.6.4 IREMONOニュース

産業廃プラスチックの正しい捨て方|リサイクル方法も解説

産業廃プラスチックの正しい捨て方|リサイクル方法も解説

現在、化粧品や電子機器など、さまざまな製品にプラスチックが活用されています。また、製造・実験用にプラスチック容器を多用する企業や研究機関は多くあります。大量のプラスチックを製造・研究の過程で利用する場合は、プラスチック製の廃材・廃容器は正しく廃棄しなければなりません。

近年、マテリアルやケミカル、サーマルと事業系ごみのリサイクル方法が多様化しています。しかし、すべての産業廃プラスチックがリサイクルできるとは限りません。そのため、産業廃プラスチックの正しい捨て方を理解しておく必要があります。

そこで当記事では、産業廃プラスチックの正しい捨て方について紹介するため、ぜひ参考にしてください。

 

1.廃プラスチックとは

廃プラスチックとは、使用後に廃棄されたプラスチック製品などの総称です。プラスチック単体のものだけではなく、主成分としてプラスチックが使用されているものも含みます。

廃棄物を大まかに分けると、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2種類に分かれます。廃プラスチックも「一般廃プラスチック」と「産業廃プラスチック」に分けることができ、家庭から排出されるものが一般廃プラスチックです。反対に、企業などが排出するプラスチックが産業廃プラスチックとなります。

実験に用いられる試薬容器や注射筒をはじめ、実験系廃棄物の中にもプラスチックを使用した製品は含まれています。製造過程で生じたものと同様に、大まかな分類では産業廃プラスチックとなります。ただし、実験系廃棄物のように有害な物質が付着している可能性のある廃プラスチックは、他のプラスチックとは分けて処理するなど、通常とは異なる対応が必要です。

 

2.産業廃プラスチックの基本的な捨て方

産業廃棄物に該当する産業廃プラスチックは、各自治体のルールに従って処分する必要があります。

多くの場合、産業廃棄物は自社ではなく専門業者に委託して処分します。ただし、処分を専門の業者に依頼するとしても、法的・社会的な排出事業者責任として産業廃棄物は排出する事業者が責任を持って、適正に処理するよう定められています。

参考:環境省「排出事業者責任の徹底について」

ここでは、産業廃プラスチックを適正に捨てるための基本的な方法について解説します。

 

2-1.自治体から許可を受けた業者を選ぶ

責任を持って産業廃プラスチックを処理するためには、業者選びが重要です。産業廃棄物の処理を受託する業者の中には、自治体から許可を受けていないところも存在します。自治体から許可を受けていないところは違法業者にあたるため、避けなくてはなりません。

より安心して処理できるように、業者を選ぶ際には自治体からの許可に加えて優良認定などの制度で評価されているかも確認することを推奨します。都道府県や政令市が審査のうえ認定を行っている制度として、「優良産廃処理業者認定制度」があります。信頼できる実績や事業の透明性、財務体質の健全性が認められた業者であるため、行政指導を受けるリスクが少なく済みます。

仮に委託先の業者が不適切な処理を行っていた場合は、依頼主側も産業廃棄物の撤去命令を受けることとなります。新たな委託先を探したり多額の撤去費用を負担したりする必要があり、依頼者としての処理責任が問われてしまいます。

自社の社会的信用を守るためにも、優良認定などの制度を受けている業者を積極的に選ぶことをおすすめします。優良業者を探す際は、「優良さんぱいナビ」を活用すると効率よく業者を見つけることができます。

参考:優良さんぱいナビ

 

2-2.業者に委託する際にマニフェストを作成する

産業廃プラスチックも含め、産業廃棄物の処理を業者に委託する場合は、「排出事業者責任」の一貫としてマニフェスト制度を利用する必要があります。マニフェスト制度とは委託した業者における産業廃棄物の処理が適正に行われたかどうか、工程を確認・記録するための管理表を作成する制度です。

専用用紙を発行する紙マニフェストの他に、近年はインターネット上で運用できる電子マニフェストも活用されています。マニフェストは7枚で1綴りとなっており、運搬や処理に関わった業者が工程ごとに1枚ずつ保管しなくてはなりません。最終処分終了後に最後の1枚が依頼主(排出事業者)へ送付されるため、最低5年間の保管が必要です。

マニフェストは自社で記載する部分と、各業者が記載する部分が設けられています。「中間処理産業廃棄物」など委託先の業者が記載すべき点は法律で定められており、誤って記載しないよう注意しなければなりません。

また、処理方法や廃棄物の詳細など記載内容に不自然な点があると、定期調査で行政処分の対象となる可能性があるため、マニフェスト作成は慎重に行う必要があります。

 

3.廃プラスチックのリサイクル方法

環境保護の観点を考慮すると、すべての廃プラスチックを廃棄するのではなく、再生可能なものはリサイクルするべきです。産業廃棄物として排出される廃プラスチックをリサイクルする方法としては、下記の3つがあります。

  • マテリアル・リサイクル
  • ケミカル・リサイクル
  • サーマル・リサイクル

再生利用が可能な資源物の活用は世界的にも積極的に取り組まれており、さまざまな技術・設備が存在します。ここでは、上記の各リサイクル方法について、詳しく解説します。

 

3-1.マテリアル・リサイクル

マテリアル・リサイクルとは、その名の通り「原料として再利用する方法」です。廃プラスチックを一度原料に戻し、新たなプラスチック製品の製造に再利用するため、元の製品とはまったく異なる姿・用途の製品に生まれ変わります。

再利用によって生まれた原料は加工が容易で、耐久性のある製品を作れるメリットがあることから、たとえば下記のアイテムの原料となっています。

  • コンテナ
  • ベンチ
  • 衣類
  • 土木建築資材

産業廃プラスチックは樹脂の種類が明確なうえ、一般家庭から排出されたものに比べると汚れや付着物が少なく、マテリアル・リサイクルに最適です。そのため、マテリアル・リサイクルに利用されるものは、産業廃プラスチックが主となっています。

 

3-2.ケミカル・リサイクル

廃プラスチックの一部は、化学的に分解するなどの処理が加えられた後に化学原料として再利用されます。ケミカル・リサイクルと呼ばれており、下記の5つの活用方法があります。

リサイクル方法 処理後の利用例
原料・モノマー化ペットボトルの原料
高炉原料化製鉄所で使用する還元剤
コークス炉化学原料化コークス・炭化水素油
ガス化メタノール・水素・アンモニア
油化燃料・生成油

ペットボトルを原料やモノマー(分子)状態に戻して、ペットボトルに再生することもあれば、プラスチックの原料に着目して他の用途で再利用することもあります。

 

3-3.サーマル・リサイクル

サーマル・リサイクルは、廃プラスチックの熱エネルギーとしての性質を利用する方法です。ケミカル・リサイクルと同様に複数種類の活用方法があります。

サーマル・リサイクルの方法を大きく分けると、下記の3通りです。

リサイクル方法 処理後の利用例
固形燃料化RPF(高カロリーの固形燃料)
セメント原・燃料化セメント製造時の原燃料
ごみ焼却熱利用・発電温水・電気

サーマル・リサイクルは完全に分別排出や再利用が行えない一部の廃プラスチックも燃料として再利用できるため、埋め立てごみの軽減が期待できる点がメリットです。

 

まとめ

企業の製造現場や研究開発にともなう実験などで生じる、プラスチック破片や汚損したプラスチック容器などは、産業廃棄物のひとつに分類されます。産業廃プラスチックと呼ばれ、その他の産業廃棄物と同様に排出者は適正な処理を行わなくてはなりません。資源化できるものはリサイクル業者へ、危険性のあるものは安全性を確保したうえで処理業者へ引き渡してください。

業者に廃棄を委託する場合は、マニフェストを作成して契約内容に沿った処理が行われたかどうかを見届ける必要があります。廃棄を委託したとしても、排出事業者としての責任はあるため、トラブルが生じないよう契約する業者は慎重に選びましょう。

また、実験系廃棄物などが付着した廃プラスチックは、別処理対応が必要であるため、廃棄時には十分に注意してください。

実験器具・機器メーカー販売サイト「PLA.com」