2021.8.3 IREMONOニュース

フッ素樹脂とは?PFA・PTFEなど主な種類5つを解説!おすすめの樹脂製容器も

フッ素樹脂とは?PFA・PTFEなど主な種類5つを解説!おすすめの樹脂製容器も

フッ素樹脂製品といえば、「テフロン」という名称が広く使用されていますが、これは三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社が製造しているフッ素樹脂です。そのため、一口にフッ素樹脂といっても実は多くの種類があります。

この記事では、樹脂原料の特性を知りたい人に向けて、フッ素樹脂の種類や違いについて解説します。フッ素樹脂が持つ特性や、フッ素樹脂製の容器についても紹介しているため、研究開発や工業生産にフッ素樹脂を利用したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

 

1.フッ素樹脂とは?

フッ素樹脂とは、フッ素を含む分子構造である樹脂原料の総称です。フッ素樹脂の特徴は種類によって異なるものの、概して樹脂原料の中でも突出した性能の高さを誇ります。そのため、半導体の製造現場や製薬・化学・食品の微量分析を行う現場などにおいて、フッ素樹脂製ボトルが広く利用されている状態です。

フッ素樹脂は、樹脂製容器以外の製品の素材としても活用されています。フッ素樹脂の製品形態の代表例は、下記の通りです。

フィルム・シート・ベルト・射出成形品・プリント基板・電線など

フッ素樹脂は、1938年にアメリカの研究者が四フッ化エチレンガスの実験を行っている最中に発見されました。日本へは、1950年頃に伝わっています。その後、日本の産業発展とともにフッ素樹脂の需要量が増加していき、現在に到ります。フッ素樹脂は、現代日本の企業活動を直接的・間接的に支えている、重要な材料であるといえるでしょう。

 

1-1.フッ素樹脂の主な特性6つ

フッ素樹脂は、熱・薬品・紫外線などに対する耐性が非常に高く、非粘着性や絶縁性にも優れた材料として知られています。ここでは、フッ素樹脂の主な特性について6つ取り上げて詳細を解説するため、樹脂原料の知識を深めたい人は、ぜひ参考にしてください。

耐熱性(熱に対する耐性の高さ)
  • 連続使用可能温度が150度~260度と高く、高温環境下でも劣化しにくい
  • 多くのフッ素樹脂の融点は200度以上である
  • 化学プラントや半導体製造工場など、化学的に厳しい状況下においても使用できる
耐薬品性(薬品に対する耐性の高さ)
  • 高温高圧のフッ素ガスなど一部の例外を除き、ほぼすべての化学薬品に対する耐性を持つ
  • 半導体製造工場など、多種多様な薬品を使用する状況下で使用できる
耐候性(紫外線などに対する耐性の高さ)
  • 20年相当の耐候性促進試験においても、特性の変化が確認されない
  • 長期間使用が見込まれる用途にも活用でき、農業用ビニールハウス用フィルムの素材などに採用される
非粘着性(他の物への付着しにくさ・粘着しにくさ)
  • 他の物質が粘着したり、接着したりすることがほぼなく、家庭用調理器具の材料として採用される
  • 粘性のある物質を扱う器具の部品としても使用できる
絶縁性(電気の通しにくさ)
  • 樹脂の中では、誘電率が非常に小さい
  • 優れた難粘特性も持つため、非常事態においても電気を通す危険性が低い
低摩耗性(摩耗しにくさ)
  • 他の物質に比べて摩擦係数が非常に低く、離型性や潤滑性が高い
  • 自動車用部品など、滑りやすさが要求される用途に使用できる

フッ素樹脂の優れた特性は、原子間の結合力の高さに起因するものです。すべての原子の中でもっとも電気陰性度の高いフッ素は、炭素原子などと固く結合する特性を持ちます。そのため、分離したり新たに結合したりする可能性が低く、もとの性質を維持することが可能です。

以上のことから、フッ素樹脂は熱や薬品、紫外線などの影響を受けることが少なく、使用用途が多岐にわたる材料といえます。

 

2.フッ素樹脂の主な種類とボトル容器製品例

フッ素樹脂の主な種類には、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PFA・PTFE・ETFEなどがあります。それぞれのフッ素樹脂は特有の性質を持ち、強みと弱みが異なることから、利用シーンに応じた樹脂原料を選ぶことが大切です。

ここでは、それぞれのフッ素樹脂の特性や用途例について、詳しく解説します。生産現場や研究開発の現場で、フッ素樹脂製の容器を使用したいと考えている人は、各素材の特徴を把握しておきましょう。

 

2-1.【二フッ化】PVDF

PVDF(ポリフッ化ビニリデン)は、炭素とフッ素、水素からなるフッ素樹脂です。PVDFの特性と用途例は、下記のようになっています。

PVDF(ポリフッ化ビニリデン)

PVDFは、フッ素樹脂の中で最高水準ともいわれる機械的強度を誇ります。さらに、PVDFは加工性が高く、溶接しやすい種類のフッ素樹脂です。ただし、PVDFは他のフッ素樹脂と比較し、連続使用温度が低い傾向にあります。また、アミン・ケトン・エステルなどに対しては耐薬品性が低いため、注意しましょう。

◎用途例
液晶製造装置のバルブやキャップ、化学工業分野のボルトやライニング・気体のサンプリングバッグなど

 

2-2.【三フッ化】PCTFE

PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)とは、フッ素と塩素からなるフッ素樹脂です。PCTFEの特性と用途例は、下記のようになっています。

PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)

PCTFEは無色透明で流動性が高く、射出成形できるため、加工しやすいフッ素樹脂といえます。また、PCTFEは水蒸気バリア性が非常に高く、水分を含む物質の長期保存・運搬用の包装フィルム成形に適した材料です。ただし、PCTFEの耐薬品性はPFAよりも劣り、溶融アルカリ金属・三フッ化塩素・高温のフッ素に弱い特徴を持ちます。

◎用途例
調理器具、医薬品などの輸送バック、医療用器具の包装フィルムなど

 

2-3.【四フッ化】PFA・PTFE・ETFE

PFA・PTFE・ETFEといったフッ素樹脂は、非常に優れた耐薬品性・非粘着性・絶縁性・低摩耗性を持っている点が特徴です。それぞれの樹脂が持っている具体的な特徴は、下記のようになっています。

PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)

PFAとは、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンの共重合体で生成されるフッ素樹脂です。PFAは、化学薬品と恒常的に触れても変成せず、半導体分野の成形材料に活用されます。

◎用途例
半導体分野の成形材料・高純度試薬の保管など

PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)

PTFEとは、フッ素・炭素のみからなる結晶性樹脂です。結晶性樹脂は非結晶性樹脂と比較して耐薬品性が高い特徴を持ちます。さらに、PTFEは固体素材の中では、摩擦係数が最小レベルにあります。

◎用途例
各種電気部品、化学薬品の液面計など

ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)

ETFEとは、テトラフルオロエチレンとエチレン共重合体からなるフッ素樹脂です。ETFEはPFA、PTFEに匹敵する耐薬品性、ECTFEと同等の機械的特性を持ち合わせます。ETFEは耐食性に優れた特徴も持ち、コーティング膜に採用されることも多い素材です。

◎用途例
各種電線、農業用ビニールハウス用フィルムなど

PFA・PTFE・ETFEの優れた特性は、炭素が4個のフッ素に結合している構造に由来します。フッ素は塩素と比較して炭素との結合力が強いため、非常に優れた耐薬品性・非粘着性・絶縁性・低摩耗性を維持することが可能です。

 

まとめ

フッ素樹脂は、フッ素と炭素を中心に構成された素材です。樹脂素材の中では、耐熱性・耐薬品性・耐候性などの高さが特徴となっています。さらに、電気や摩擦に強いという性質があるため、科学的・物理的に過酷な環境でフッ素樹脂を利用することが可能です。

「IREMONO」では、実験・研究・製造現場で使われる樹脂製ボトル容器について多角的に解説しております。「IREMONO」を活用して、実験・研究・製造に適した樹脂製器具・容器への理解を深めましょう。

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