2021.7.5 IREMONOニュース

樹脂製容器に関係する「RoHS指令」とは?RoHS対応容器も紹介

樹脂製容器に関係する「RoHS指令」とは?RoHS対応容器も紹介

電子部品や電気製品など、工業製品の研究・開発に携わっている場合は、EUの法律である「RoHS指令(ローズ指令)」を理解する必要があります。電気電子製品は海外に輸出するケースが多く、日本企業もRoHS指令による規制物質への対応が必要であるためです。

RoHS指令は樹脂にも関係するため、製品の開発・研究において樹脂を使用する場合は配慮しなければなりません。今回はRoHS指令の詳しい内容と、樹脂がRoHS指令に関わる理由、RoHS指令に対応した樹脂製容器の例を紹介します。

 

1.RoHS指令(ローズ指令)とは?

RoHS指令とは、電気電子機器における特定有害物質の使用制限を定めた、EUの法律です。対象製品の廃棄処分時などに出る有害物質によって、人や環境への大きな影響が出ないように防ぐことを目的としています。

RoHS指令は2006年に適用開始したRoHS1と、RoHS1を改正して2013年に適用開始したRoHS2に分かれます。現在ではRoHS1は失効しており、RoHS2が有効な指令です。

 

1-1.RoHS指令で使用制限がある有害物質

RoHS指令では、以下の10物質について使用制限を定めています。

物質 略号 規制濃度
カドミウムCd0.01wt%(100ppm)
水銀Hg0.1wt%(1,000ppm)
Pb0.1wt%(1,000ppm)
六価クロムCr+60.1wt%(1,000ppm)
ポリ臭化ビフェニルPBB0.1wt%(1,000ppm)
ポリ臭化ジフェニルエーテルPBDE0.1wt%(1,000ppm)
フタル酸ジブチルDBP0.1wt%(1,000ppm)
フタル酸ブチルベンジルBBP0.1wt%(1,000ppm)
フタル酸ジイソブチルDIBP0.1wt%(1,000ppm)
フタル酸ジエチルヘキシルDEHP0.1wt%(1,000ppm)

DBP・BBP・DIBP・DEHPの4つはRoHS2で対象物質として追加され、2019年7月に使用制限が開始しています。

 

1-2.RoHS指令の対象となる製品

RoHS指令の対象製品は、定格電圧AC1000V/DC1500V以下の電気電子製品です。製品はカテゴリーごとに分けられ、以下の11カテゴリーが存在します。

製品 具体例
大型家庭用電気製品冷蔵庫、洗濯機
小型家庭用電気製品掃除機、時計
ITおよび電気通信機器パソコン、プリンター
民生用機器テレビ、オーディオアンプ
照明器具蛍光灯、放電灯
電動工具電気ドリル、旋盤
玩具やレジャー・スポーツ用品ゲーム機、ピッチングマシン
医療機器放射線療法機器、透析機器
監視および制御機器サーモスタット、煙検知器
自動販売機飲料自動販売機、自動券売機
その他の電気電子製品コネクタのないケーブル

「医療機器」「監視および制御機器」「その他の電気電子製品」は、RoHS2で新規追加されたカテゴリーです。「医療機器」「監視および制御機器」は2014年7月に、「その他の電気電子製品」は2019年7月に適用開始となりました。

 

1-3.RoHS指令の義務が課される対象者

RoHS指令の義務が課される対象者は、対象となる製品のサプライチェーンに関わる「生産者」「販売者」「輸出者」「輸入者」です。中でも生産者には、以下に挙げる4つの義務が課されています。

  • (1)RoHS指令への適合性評価を実施して適合制限を行い、上市前の製品にCEマーキングを行う。適合性を証明する技術文書を作成し、適合宣言書とともに10年間保管する。
  • (2)製品の適合状況を維持し、設計変更や適合規格変更の際は適切に対応する。
  • (3)製品識別に必要な製造番号などの情報や、製造者名・登録商標・住所・連絡先を製品もしくは包装や添付文書に記載する。
  • (4)上市後に不適合があった場合は製品をリコールし、加盟国の所轄当局へただちに通知する。

 

2.樹脂(プラスチック)もRoHS指令は関わる?

RoHS指令は鉛や水銀などを有害物質として指定しているため、金属との関わりが深いイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、樹脂を取り扱う場合もRoHS指令への配慮が必要です。RoHS指令への対応が樹脂であっても必要とされる理由を、2つの視点で解説します。

 

2-1.適用国に輸出する場合はRoHS指令を守る必要がある

RoHS指令はEU域内で効力を持っているため、製品を適用国に輸出する場合はRoHS指令を守る必要があります。電気電子製品は構成部品に樹脂素材を使用することが多く、樹脂部品もRoHS指令に配慮しなければなりません。

製品出荷時に使用する梱包資材についても、EUでは包装廃棄物指令で指定有害物質の使用規制が行われています。包装廃棄物指令の規制対象はカドミウム・水銀・鉛・六価クロムであり、梱包資材中の含有量は重量比で100ppm以下に抑えなければなりません。

また、EUではREACH規則と呼ばれる法律によって、全製品における化学物質の含有情報管理も行われています。理化学分野などで使用する樹脂製容器も対象であるため、適用国に輸出する場合は十分な配慮が必要です。

 

2-2.安全性の証明としてRoHS対応が求められている

近年は環境汚染対策や製品の安全性に関心を持つ消費者が多く、環境や人にやさしい製品であることが購入の判断基準となるケースも増えました。企業活動の中で環境問題に取り組む重要性も高まっており、環境負荷に配慮した安全な製品であるとアピールすることは収益向上の観点で効果的です。

そのため、樹脂が含まれる製品についても、RoHS指令に対応していることが求められるようになっています。RoHS指令に対応している製品は化学物質管理が厳正に行われていると見なされ、環境対策や安全性の証明として機能するためです。メーカーによってはRoHS対応のロゴマークを作成し、製品に表示しているケースもあります。

 

3.理化学分野で使用する樹脂製容器・ボトルの対応品事例

サンプラテックでは、ポリエチレン(PE)製、ポリプロピレン(PP)製、ポリスチレン(PS)製などの容器でRoHS対応品事例があります。最後に、樹脂製容器・ボトルの素材別に対応品事例を紹介します。

■ポリエチレン(PE)製容器

<PE広口瓶>

PE広口瓶

PE広口瓶はスタンダードな樹脂製容器であり、分析用の試料を保管したり、食品のサンプルを保存したりするなど幅広い用途に活用できます。凹凸の少ない形状で出し入れしやすく、破損にも強いことが特徴です。

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<サンプラ(R)バイオプラ PE広口ボトル>

サンプラ(R)バイオプラ PE広口ボトル

サンプラ(R)バイオプラ PE広口ボトルは、サトウキビを主原料とするバイオポリエチレンで作られたグリーンプラ製品です。従来のポリエチレンと性能は変わらず、通常の樹脂製容器として使用できます。廃棄時に焼却してもCO2排出量ゼロと見なすことができるため、石油由来の樹脂製容器よりもエコです。

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■ポリプロピレン(PP)製容器

<サンプラ(R)PPボトル広口>

サンプラ(R)PPボトル広口

サンプラ(R)PPボトル広口は透明度が高く、内部に入れた液体の状態を確認しやすい樹脂製容器です。中栓がないため、キャップの開け閉めのみで内容物を管理できます。耐熱性・耐薬品性に優れ、オートクレーブ滅菌が行えることも特徴です。

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<ブックボトル>

ブックボトル

ポリプロピレン(PP)製容器には、ブックボトルも存在します。ブックボトルは本のような形状であり、収納棚に立てて隙間なく保存できる樹脂製容器です。透明性が高いため内部の液体を確認しやすく、ラベルを貼ることで視認性を高めて保管することもできます。研究室や開発室の省スペースを実現したいときにご利用ください。

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■ポリスチレン(PS)製容器・その他容器

<スチロール角型ケース>

スチロール角型ケース

スチロール角型ケースは透明度がとても高く、内容物の状態を確認できる樹脂製容器です。角型であるため四角い形状の物体を入れる用途に適しており、基盤・チップや半導体部品などの梱包用・移送用ケースとして活用できます。

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<サンプラ(R)クリアー広口ボトル>

サンプラ(R)クリアー広口ボトル

サンプラ(R)クリアー広口ボトルは透明性が非常に高い樹脂製容器であり、プラスチック可塑剤・酸化防止剤は不使用であるため、医薬品や食品の保管に最適です。中栓なしで液漏れがなく保存できることで作業性を高めています。容器側面に目盛りが付いており、内容物の残量を視認できることも特徴です。

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まとめ

RoHS指令は電気電子製品に使用する特定有害物質を規制する法律であり、現在ではRoHS2が効力を持っています。RoHS指令では製品の生産者・販売者・輸出者・輸入者に義務が課されているため、指定されている対象製品と有害物質について把握しておきましょう。

RoHS指令は樹脂にも関わりがあり、製品を適用国に輸出する場合や、安全性の証明としたい場合はRoHS指令に対応することが求められています。サンプラテックではRoHS指令に対応した樹脂製容器・ボトルを複数用意しているため、ぜひご利用ください。

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