2022.12.9 IREMONOニュース

簡易金型とは?本金型との違い・メリットデメリット・樹脂製品の製作事例も

簡易金型とは?本金型との違い・メリットデメリット・樹脂製品の製作事例も

樹脂(プラスチック)製品を大量生産するためには、「金型」が必要です。一般的には鋼製の「本金型」を使用しますが、初期コストがかかる点がデメリットの一つです。そこで現在では、少量生産・試作の生産に適した「簡易金型」も多く活用されており、本金型と比較し大きなコストダウンに繋がります。

この記事では、簡易金型の概要やメリット・デメリット、本金型との料金差、簡易金型を使用した製作事例などを紹介するため、試作加工を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

 

1.簡易金型とは?

一般的な簡易金型は、ベースとなる金型に目的の形状に加工したアルミニウム金型をカセット方式で入れ込むタイプです。

そもそも、樹脂製品を大量生産する際は、以下の流れが一般的です。

金型製作→樹脂を流し込み、成型を実施

大量生産の際に使用する「本金型」は、鋼材を使用することが多く、金型の製作完了までにコスト・時間がかかります。一方で簡易金型は、素材にアルミニウムを使用するため、安価に製作することが可能です。

そのため、生産ロットが少ない場合や試作段階での金型では、簡易金型が多く使用されています。

 

1-1.簡易金型のメリット・デメリット

簡易金型の主なメリット・デメリットとして、以下の項目が挙げられます。

簡易金型のメリット
  • 本金型よりも価格を抑えられる
  • 製作期間が短く、納期短縮などに繫がる
簡易金型のデメリット
  • 本金型よりも耐久性が低くなる
  • 大型サイズの成型や高温下で使用される樹脂の場合、対応が難しいことがある

簡易金型は、基本的に「本金型より頑丈でなくていい場合」「コストを抑えたい場合」などに、使用が向いていると言えるでしょう。

 

1-2.簡易金型と本金型の違い|料金差・選択する上での判断軸

■簡易金型と本金型の違い

簡易金型
コスト 安い
製作期間 短い
ショット数(耐久性) 少ない(低い)
使用される材料 アルミニウム
用途
  • 大量生産品の試作品
  • 少量生産品
本金型
コスト 高い
製作期間 長い
ショット数(耐久性) 多い(高い)
使用される材料
用途 大量生産品

鋼材で作られる金型は「本金型(量産金型)」と呼びます。本金型は、製品を大量生産する金型に向いており、約10万~100万ショットの成型が可能です。一方で、鋼材を使用するため、金型製作にコスト・時間がかかることがデメリットです。

簡易金型では、金型の外周部を構成する部分である「モールドベース」を一から製作するのではなく、既存品を使用します。また、アルミニウムは鋼材と比較し製作時の加工が簡単となります。そのため簡易金型では、本金型と比較して料金コストが約2~3割安くなる傾向です。

小ロット量産用やノベルティなどで配布する成型品用、試作段階での金型起工には、簡易金型を使用するとよいでしょう。

 

2.簡易金型での製作事例を紹介!

サンプラテックでは、主にインジェクション成型(射出成型)で作れる形状であれば、簡易金型での製作が可能であり、製品事例も豊富です。また一般的に、簡易金型は複雑な形状での製作が難しいと言われますが、射出成型で成型可能な形状であれば、複雑な形状でも対応可能です。精度に関しても本金型とほぼ同等で、アンダー形状なども再現可能です。

また、簡易金型で成型できる素材は、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ABS樹脂、ポリスチレン(PS)といった汎用樹脂のほか、ポリカーボネート(PC)やポリアセタール(POM)などのエンプラも対象となります。

ただし、対応できるサイズには限界値があるため大型サイズや高さが必要な成型などは、別途ご相談ください。お問い合わせは、以下IREMONO特注工房ページの問合せフォームより行えます。

 

2-1.簡易金型特注製作の流れ

簡易金型での特注製作を行う際に「どのような工程を踏むのかな?」と、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

以下では、サンプラテックで簡易金型の特注製作を承る際における、実際の流れを紹介します。

■【サンプラテック】簡易金型特注製作の流れ

(1)お問合わせ受付 まずは、特注専用お問い合わせフォームから、お気軽にお問い合わせください。後日、弊社より折り返しのご連絡をさせて頂きます。
(2)特注内容擦り合わせ

仕様やロット、各種要望などをお伺いし、試作金型または本金型など、製作方法を具体的に検討します。二次加工・滅菌・洗浄・フッ素化処理・帯電防止・着色などの特注ももちろん可能です。

ご予算・納期希望や新規容器の目的・用途、新規容器の形状や寸法イメージ、新規容器に求める性能や品質などを具体的にヒアリングさせていただきます。

(3)製品図面の協議 図面が必要な場合は、サンプラテックでも作成可能です。その際は別途費用がかかるため、ご相談ください。
(4)試作金型と試作品(製品)のコスト算出 擦り合わせをもとに、実際のコストを算出いたします。
(5)お見積ご提出 基本的に、代理店様経由で提出させていただきます。
(6)ご注文
(7)製作開始、納期ご連絡 納期の目安は1か月程度となります。短期納品をご希望の場合は、擦り合わせ時に別途ご相談くださいませ。
(8)製品完成と必要事項の検品、梱包 特注内容と相違がないかを確認し、速やかに出荷準備を進めさせていただきます。
(9)出荷・納品 出荷は、基本的に代理店様経由となります。

サンプラテックは、樹脂製ボトル・容器の製造に60年以上の歴史があり、様々な形状・材質の製品を自社で開発した金型で製造しています。幅広い特注依頼に柔軟に対応できるノウハウと設備が整っている点が強みですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

2-2.試作品の製作を行う際のポイントは?

最後に、試作品の製作を行う際のポイントを紹介します。

試作品を作るにあたって、金型製作の発注先を検討している方は、製作工程における思わぬトラブル発生を防ぐためにも、ぜひ以下のポイントをチェックしてみてください。

■試作品の製作を行う際のポイント

(1)製品のどの部分を確認・重視したいのかを明確にする

簡易金型での試作を行う際は、製品のどの部分を確認したいのかを明確にし、その部分に影響を与えうる要素は、なるべく量産加工を実施する際の条件に適合させましょう。

試作品と量産品での違いが生じると、適切な評価ができない場合があるため、注意してください。製作依頼時にも、重視する性能やポイントなどを、しっかりと担当者に伝えることがおすすめです。

(2)アイデアを商品化する際は秘密保持契約を締結する

試作に際し、アイデアが外部に漏洩しないよう注意したい場合は、発注先と秘密保持契約を締結することが重要です。秘密保持契約を締結することで、万が一、自社の秘密情報が漏洩した際にも、損害賠償・差止めの請求を行うことが可能となります。

金型製作を依頼する際は、なるべく相見積もりを取り、やり取りの中で信頼に足りうると感じた製作会社に依頼するようにしましょう。

(3)発注先の対応・技術力を確認する

「レスポンスが早いかどうか」「対応・提案が丁寧かどうか」という点は、ビジネスにおける基本的事項です。また、いくら見積もりなどの条件が良くても、上から目線・高圧的な態度を取る業者の場合は、コミュニケーションの問題から避けるほうが無難と言えます。

また、簡易金型の製作にあたり、技術力が高いかどうかも確認するようにしましょう。特に加工の最後の工程である「研磨」は、多くの場合で手作業で実施されるため、技術力の差がでる箇所です。簡易金型での製作事例・実績が豊富な業者を選定すると安心と言えるでしょう。

サンプラテックは、1960年に実験機器の製造メーカーとして誕生しました。当時主流だったガラス機器ではなく、樹脂製品の開発をいち早く行い、以来、業界のパイオニアとして市場を牽引しています。

オリジナル製品の製作数は3,000点を超えるなど、特注技術、成型技術に強みを持っている点が特徴です。ユーザー目線での開発、およびお客様の課題解決に沿った開発を行いますので、金型製作でお悩みの際は、ぜひサンプラテックにご相談ください。

 

まとめ

簡易金型は、着脱式のカセット金型を装着して成型する方法で、モールドベースは既存品を使用することから、本金型と比較し大幅にコストを下げることができます。1,000ショット未満など、少量生産を考えている場合は、まずは簡易金型を使用した製作を検討してみてください。

IREMONOサイトでは、他にも樹脂や理化学分野に関するコンテンツを多く紹介しています。特注工房のページでは、各種特注に関する詳細を多く掲載しているため、ぜひ併せて確認してみてください。

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