プラスチックの歴史を知ろう!はじまりから現在までを詳しく解説
プラスチックは、今や人々の生活において当たり前のように見かける物質の一種です。しかし、プラスチックのはじまりは1860年代と決して遠い昔ではなく、日用品の多くをプラスチック製品が占めるようになったのもここ最近と言っても過言ではありません。
現在では何の気なしに触れているプラスチック製品が、誕生から現在に至るまでどのような歴史をたどってきたのかを詳しく知ることで、環境問題についての関心もさらに高められるでしょう。
そこで今回は、プラスチックの歴史や現代において抱える問題、今後のプラスチックへの取り組みについて詳しく紹介します。プラスチックの歴史や環境問題について少しでも興味のある方は、ぜひ最後まで参考にしてください。
1.プラスチックの歴史のはじまり
プラスチックとは、主原料となる合成樹脂に熱や圧力を加えるなどの人工的な成形加工が施された高分子化合物です。ギリシャ語の「plastikos(可塑性・塑性)」が語源となっており、本来はモノの性質を表す言葉でした。可塑性とは、外部から力を加えることによって形を自由に変えられ、その形がそのまま残るという性質を指しています。
現代においてプラスチックはさまざまな製品に活用されており、人々の生活に欠かせない存在と言っても過言ではありません。
しかし、プラスチックが誕生してから人々が当たり前のようにプラスチック製品に触れるまで、どのような歴史をたどってきたのかを知らない方も多くいるでしょう。そこでまずは、プラスチックの歴史のはじまりについて詳しく説明します。
1-1.1860年代にアメリカで発明・商品化
プラスチックの歴史は、1860年代にアメリカの印刷工によって「セルロイド(ニトロセルロース)」が発明されたことからはじまります。
セルロイドとは、セルロースを原料とする半合成樹脂であり、最初に工業化された実用プラスチックとしても知られています。
セルロイドは1860年代に商品化されて以降、あらゆる用途に使用されるようになったものの、発火性・可燃性の高さが問題視されていたことも実情です。
1-2.ニューヨークで合成樹脂プラスチックが誕生
セルロイドが商品化された1860年以降もプラスチックのさらなる発明は続き、40~50年後となる1907年には、現代のプラスチック製品でも主流となる「天然素材を使用しないプラスチック」が誕生します。
ベルギー人の「レオ・ベークランド」はニューヨークで石炭から炭化水素物質を抽出し、合成高分子をベースとした初のプラスチックである「フェノール樹脂」をつくりだしました。このフェノール樹脂は発明者の名前にちなんで「ベークライト」と名付けられ、家電や自動車をはじめとした工業製品にも広く使用されるようになります。
レオ・ベークランドによる合成樹脂プラスチックの発明をきっかけに、さまざまな開発研究者によるプラスチックの開発が著しく進み、1926年には可塑化ポリ塩化ビニル、1938年にはポリスチレンが続々と誕生しました。
2.プラスチックの普及期
1900年~1930年代には、現代においても主流となる数々のプラスチック製品が誕生したものの、当時はさほど注目されていませんでした。しかし、第二次世界大戦のはじまり・素材の利便性が多くの人々に知れ渡ったことをきっかけに、普及率が大きく向上します。
ここからは、プラスチックの普及率が高まった理由である「第二次世界大戦の開戦」と「素材の利便性の認知拡大」の2点について、それぞれ詳しく説明します。
2-1.第二次世界大戦に不足した金属の代用として需要高
1939年9月1日に始まった第二次世界大戦によって、アルミや銅・鉄は軍事利用に貴重なものとなりました。加えて、天然ゴムの素材も配給制であったことから、資源確保を目的にプラスチックの需要は急激に増大します。
それまで、プラスチックは決して安価な製品ではありませんでした。しかし、戦時中に産業用プラスチックの研究開発と生産が著しく進んだことからプラスチック製品は安価に購入できる素材として市場に拡大し、多くの家庭における日用品がプラスチック製品に変わっていきました。
2-2.戦後は便利さから日用品の多くをプラスチック製品が占める
戦時中にプラスチック商品が大量に製造されたことによって、第二次世界大戦の終戦後はプラスチック製品の大量消費の時代が続きます。
安価に購入できる点だけでなく、自由自在に形を変えられるというプラスチック特有の素材の汎用性の高さも評価され、「安さ」ではなく「生活の快適さ」を求めてプラスチック製品を取り入れる家庭が大幅に増加しました。
実際に、第二次世界大戦終戦後の1950年~2010年代にかけてプラスチック生産量は190倍に増えたと言われており、プラスチック製品がどれほど人々の生活に影響を与えたのかは一目瞭然です。
3.現在のプラスチック
「第二次世界大戦の開戦」や「素材の利便性の認知拡大」をきっかけに、プラスチック製品のさらなる開発が進み、幅広いシーンで活用できる多種多様な商品が誕生します。
そして現代において、プラスチック製品は日常生活に欠かせない存在となりました。あらゆるプラスチック製品が当たり前のように世界中で利用されるようになったものの、諸外国と日本とではプラスチックの生産量にやや違いがあるほか、プラスチックのさらなる研究・開発が進んでいることも実情です。
ここからは、プラスチック製品の利用が当たり前となった現在における実情を紹介します。
3-1.世界でプラスチックの生産量は高まるも日本では横ばい
現代では、世界中でプラスチックが生産されるようになりました。全世界における2020年の年間プラスチック生産量は約3億6,700万トンと言われており、2040年までには生産量が2倍になるという予想もされています。
出典:日本財団「Plastics Management Indexで日本が2位、ドイツがトップに」
また、ヨーロッパにおけるプラスチックの生産量も年々増加しており、2021年では過去最高の3億9,070万トンと推定されています。
出典:PLASTICS EUROPE「Plastics – the Facts 2022」
このように諸外国でプラスチック生産量が高まる一方で、日本のプラスチック生産量はほぼ横ばいとなっていることも実情です。2021年における日本のプラスチック生産量は1,045万トンと、世界のプラスチック生産量の3%にも満たしません。
3-2.高機能樹脂の誕生によって豊かな生活と実験の効率化を実現
プラスチックのタイプは多種多様であり、生産量が高まるとともにより便利かつ機能性の高い樹脂の研究・開発が進んでいることも特徴です。
また、プラスチックそのものの研究・開発だけでなく、別分野の研究・開発においてプラスチック製の実験器具が活用されるケースも多々あります。前述の通り、プラスチックは成形性・汎用性に優れており、薬品によって適切な種類のプラスチック製品を実験器具として使用することが一般的です。
近年では、塩化ビニルやポリエチレンなどの一般的な合成樹脂よりも耐衝撃性・加工性・耐熱性に優れた「高機能樹脂」の誕生も注目されています。エンジニアリングプラスチックやエンプラ・スーパーエンプラとも呼ばれます。
このような高機能樹脂の誕生によって、人々の生活はさらに豊かになっただけでなく、発明家・研究家による実験の効率化も実現しました。
4.海洋マイクロプラスチック問題と新しいプラスチックの開発
世界中でプラスチック製品が大量生産され、人々の生活の利便性が向上した一方で、海洋マイクロプラスチック汚染が問題視されています。
海洋マイクロプラスチック問題とは、海にさらされたプラスチックごみが劣化して「マイクロプラスチック」と呼ばれる小さな破片となり、自然環境や海洋生物、さらに人体にまで悪影響を及ぼすとされる環境問題のことです。
世界中のプラスチック生産量が増加している近年、廃プラスチックによる海洋マイクロプラスチックは広がっており、現在の状況では回収・対策もほぼ不可能とも言われています。
こうしたプラスチック問題を踏まえ、世界では地球環境に害を及ぼさない新たなプラスチックの開発やプラスチック代替品の使用が世界的課題となっています。今後は、再資源化(リサイクル)のしやすいプラスチックや「バイオマスプラスチック」をはじめとした生分解性プラスチックなど、さまざまな特性をもったプラスチックの誕生が見込まれるでしょう。
まとめ
プラスチックとは、合成樹脂に人工的な成形加工が施された高分子化合物です。プラスチックの歴史は、1860年代に「セルロイド(ニトロセルロース)」が発明されたことからはじまりました。その後あらゆるプラスチックが誕生し、第二次世界大戦によるプラスチック需要の高まりやプラスチック素材の利便性の認知拡大を経て、今やプラスチックは人々の生活に欠かせないものとなっています。
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